会員数「1億人超え」 欧州最大ホテルチェーンが日本で仕掛ける“脱中国人依存”の戦略:2028年「ラッフルズ東京」上陸(3/3 ページ)
欧州最大のホテルグループである仏アコーが、日本をアジアの最重要市場と位置付け、積極的にビジネスを展開している。2028年には最高級ブランド「ラッフルズ東京」が上陸するなど、攻めの姿勢を崩さない。日本事業を統括するアコージャパンのディーン・ダニエルズ社長に、日本市場戦略の展望を聞いた。
人材教育の徹底とラグジュアリー戦略 2028年「ラッフルズ東京」への布石
アコーは従業員のことを「ハーティスト」(ハート+アーティスト)と呼ぶ。ホテル数の増加に伴い、2019年は1250人だった従業員数が、2025年には4000人以上まで急増した。企業は急成長をすると、どの業界でも人材教育が追いつかないケースがある。
「当社は『アカデミー』と呼んでいますが、ブランドトレーニング、オンボーディングなど、毎月、いろいろなトレーニングを実施しています。正直なところ、急成長したことによって少々、サービスに乱れが生じることがないわけではありません。そこは、日々の業務でお客さまから学ぶのが一番だと思っていますが、私たち経営層が、ベストなトレーニングプログラムを作らないといけないと考えています」
今後の目玉は、2028年の「ラッフルズ東京」開業だ。同ブランドは1887年にシンガポールで誕生。作家・村上龍の長編小説『ラッフルズホテル』の舞台にもなった。
ラグジュアリーホテルでは、2025年7月に「フェアモント東京」をオープンさせている。
「これまで日本市場では3つ星ホテルを中心に展開してきました。これからはラグジュアリー層へのフォーカスを強めます。ラッフルズは日本人の認知度も高く、フェアモントを含め日本にフィットしたブランドだと確信しています」
ラグジュアリーブランドの拡充は、ポイントプログラムの活性化にも寄与する。「ラッフルズなどの憧れのホテルに、ためたポイントで泊まる」という目標を会員に提示することで、グループ全体の利用頻度を高める狙いだ。
「両ホテルは、人々に夢を与えるホテルです。ラッフルズに宿泊することを目指して、(傘下のホテルに宿泊して)ポイントをためる会員の方もいるくらいです」
また、広島に開業する東急ステイ メルキュール 広島では、客室内に洗濯機やキッチンを備え、長期滞在ニーズに応える。同社が運営する国内ホテルの平均滞在日数は1.5泊で、日本人客の滞在期間が一番長いのは沖縄の平均約3.5泊だという。広島でも同様に平均滞在日数の引き上げを狙う。
日本国内では「アクティブユーザー数」に課題
今後の課題は、日本国内におけるALL Accorのアクティブユーザー拡大だ。登録者数は多い一方、日常的な利用率にはまだ伸びしろがある。
解決策の一つとして検討しているのが、クレジットカードの創設だ。「クレジットカードを通じてポイントがたまる仕組みを整えれば、利便性が向上し、アクティブユーザーを増やせる可能性が高まります。クレジットカードには保有すること自体がステータスという一面もあります。真剣に検討しなければなりません」
ALL Accor成功のカギは、航空会社のマイレージプログラムのように、生活に密着した存在になれるかどうかにある。日本市場を深く理解するダニエルズ社長が仕掛ける今後の戦略に注目だ。
メンバーシッププログラムの「リミットレスエクスペリエンス」の様子(左からフランスのジャーナリストであるフローラン・ダバディ氏、スペシャルゲストの松岡修造氏、大会アンバサダーである錦織圭氏を迎えたトークセッションの様子。2024年11月撮影:武田信晃)
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
6500室を一斉開業 欧州最大ホテルチェーン幹部に聞く「国内リゾート進出の狙い」
6471室を一斉開業する欧州最大ホテルチェーン 「投資は回収できる」と自信のワケ
日本に商機を見いだした欧州最大のホテル運営、仏アコーは2024年4月1日、日本初上陸となる「グランドメルキュール」12軒と、東京・銀座などで展開している「メルキュール」11軒の計23軒、6471室を一斉開業させる。CEOへのインタビューから日本を“狙い撃ち”した理由や、市場攻略のカギに迫った。
6500室を一斉開業 欧州最大ホテルチェーンが日本を“狙い撃ち”した理由
欧州最大のホテルチェーン仏アコーは2024年春、計23軒のホテルで6500室以上を一斉開業させる。これだけの数を一気に開業させる理由は何か? アコージャパンのディーン・ダニエルズ社長に狙いを聞いた。
販売初日に予約完売 帝国ホテル「サービスアパートメント」事業の開発責任者に狙いを聞いた
帝国ホテルがコロナ禍でのテレワーク需要を先取りして、客室を長期間貸し出す「サービスアパートメント」事業を発表した。販売初日で予約が満室になるなど、人気を博している。この事業に企画段階からかかわってきた小池崇裕企画部課長に、狙いと今後の展開をインタビューした。
アパホテル元谷専務に聞く 赤字だったプール事業を黒字化した一手
アパホテルの新たな可能性を引き出し続けているのが、アパホテル社長の次男・元谷拓専務だ。アパ社長カレーやポカリスエットプールなどを企画・プロデュースする。
コロナ直撃で「稼働率83.5%減」の衝撃 ホテル業界の経営者に求められる対策とは?
新型コロナの影響によって深刻なダメージを負ったホテル業界。PwCコンサルティングは、影響をまとめたレポート「COVID19:ホテル業界への影響」を6月にまとめた。今後の業界見通しと、経営者に求められる施策とは?