大人が夜な夜な2次関数? くもん、中高生の内容を「大人向けドリル」に 支持される背景とは(4/4 ページ)
近年、「大人の学び直し」が注目を集めている。資格取得やキャリアアップのためではなく、「学生時代の勉強をもう一度やってみたい」といったニーズもあるという。こうした需要を背景に、くもん出版は中高生向けの国語や数学を改めて学べる大人向け学習書を展開している。
なぜ中高生向け教材を“大人向け”に展開したのか
くもん出版はこれまで、子ども向けの学習書や絵本、児童書を主軸に事業を展開してきた。しかし、少子高齢化が進む中で「大人のための学び」にも取り組むべきではないかとの議論が社内で高まった。
後押しとなったのが、愛読者はがきで寄せられた声だ。子ども向け学習書を「学び直し」として使う大人が一定数いたのだ。そこで中高生向けの内容を、大人が取り組みやすい形に再設計した教材を開発する方針を固めた。
企画段階では、社内外でアンケートやヒアリングを実施。「何を学びたいか」という率直なニーズを探った。
その上で重視したのが“くもんらしさ”をどう打ち出すかである。くもん出版の子ども向け教材は、書き込み式で自学自習ができる点を強みとしてきた。大人向けでもその特徴を継承し、読むだけの教養書ではなく「解きながら」身に付けるワークブック形式を採用した。
大人の学びというと、資格取得や語学、キャリアアップといった実利的な目的を思い浮かべがちだ。しかし実際には「学生時代の勉強をどこまで覚えているか試したい」という動機も少なくないという。そこで英語や数学、国語など中高生向けの教科を軸に、基礎から改めて取り組める内容とした。
判型はB5サイズ。Webでの購入者からは「思ったより大きい」と驚かれることもあるが、十分な書き込みスペースを確保するのに必要なサイズだったという。長野氏は「手を動かして書き込めることで、“勉強をしている実感”が得られる。デジタル中心の時代には、逆に新鮮なのかもしれませんね」と話す。
長野氏によると、大人向けの学び直し本には、隙間時間で学べる「読むだけ」のタイプも多いという。一方で、自ら書き込み、問題を解き進めるワークブック形式は「意外にありそうでなかった」そうだ。
当初は40代以上の女性を中心読者に想定していたが、実際には若年層から高齢男性まで幅広い層に広がった。世代を問わず、コツコツと書き込みながら学ぶ行為そのものに価値を見いだす人が多いことが分かった。
書店でも「大人の学び直し」コーナーを設ける店舗が徐々に増えているという。6月には英語の新刊に加え、シリーズ初の理科科目となる「物理」を刊行予定だ。長野氏は「試験のためではなく、学ぶ楽しさや喜びなどをゴールに、これからもシリーズを広げていきたいです」と意気込んだ。
【イベント情報】老舗企業がDXを受け入れるまでの700日
創業60年の老舗である協和海運は、スタートアップのShippioと共に通関業務のDXに挑戦しました。紙を中心とした現場をデジタル化し、さらにAIを活用した新たな事業創出にも発展させました。その結果、取扱件数は6倍に増加し、工数は5分の1に削減、トラブルはゼロを実現しました。ベテラン職人の知見とテクノロジーを融合させ、業界の変革モデルとなった本プロジェクト。その裏側で、何を考え、どのように実行してきたのか――リアルな現場の声と成果を包み隠さずお伝えします。
- 講演「日本DX大賞受賞|抵抗、戸惑い、そして覚悟—老舗企業がDXを受け入れるまでの700日」
- イベント「ITmedia デジタル戦略EXPO 2026 冬」
- 2026年1月27日(火)〜2月25日(水)
- こちらから無料登録してご視聴ください
- 主催:ITmedia ビジネスオンライン
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
チャンネル登録者35万人→合計300万人 『コロコロコミック』が小学生男子相手に“本気”でやったこと
『コロコロコミック』が、YouTubeやNintendo Switchでの取り組みに力を入れている。誌面でのコンテンツに加えて、デジタル戦略に力を入れる狙いについて、同誌の小林副編集長に話を聞いた。
ギャル男雑誌『men’s egg』が復刊、なのに「雑誌では稼がない」? 仕掛け人の起業家が明かす新ビジネスモデルとは
平成を象徴するメンズファッション誌『men’s egg』が復活した。仕掛け人は出版社の人物ではなく、医療・福祉分野などで事業を展開する起業家だ。なぜ、出版不況の時代に紙の雑誌を復刊させたのか、話を聞いた。



