生成AIで仕事は速くなったのに、なぜ時短を実感できないのか 調査で見えた3つの理由(4/5 ページ)
生成AIの業務利用は広がりつつあるが、仕事が速くなった実感に比べ、全体の時短を感じる人は少ない。なぜ効率化が労働時間の削減につながらないのか。調査データから、その背景にある3つの理由と企業の課題を読み解く。
普及を分ける4つのパターン
パーソル総合研究所は、企業の生成AI普及のパターンを4つのタイプに分類する。
現場に裁量を委ねつつ相談・教育の体制を整え、レビューやテンプレートの更新にも取り組む「仕組み化」。組織として厳格なルールやツールを定めるトップダウン型の「統制」。活用は進めているが、手順やレビューが未整備で、部門や個人による差が大きい「手探り運用」。一定のルールはあるものの、教育や学習が属人的な「現場任せ」だ。
短期的な削減効果は現場任せタイプが最も高かったが、成熟度では仕組み化タイプが最高スコアを記録。一方、成熟度と削減時間の両方で最低だったのが統制タイプだ。
「手続きが多く、手間のかかるガバナンスを敷いてしまうと、、面倒な業務が1つ増えた形になり、普及にとっては大きなブレーキになる」と田村氏は分析する。大企業にやや多いタイプだけに、自社の普及アプローチがどのタイプに近いのかを点検することが、現状打破の第一歩になりそうだ。
成熟度を意識した取り組みを進める企業も出てきている。三菱UFJフィナンシャル・グループ(MUFG)はOpenAIと戦略的コラボレーション契約を締結し、2026年1月以降、全行員約3万5000人がChatGPT Enterpriseを日常業務で利用できる体制を順次展開している。
グループ全体の15万人を対象としたAI浸透運動「Hello, AI @MUFG」も進めており、組織全体にAIを根付かせる仕組み化タイプの実践例といえる。
DeNAは独自のAI活用指標「DARS(DeNA AI Readiness Score)」を開発し、個人と組織の活用レベルを5段階で可視化。「一度は試したことがある」から「AIを軸とした戦略立案ができる」まで段階的に評価する設計は、パーソル総合研究所が提唱する「成熟度」の考え方と重なる。利用率ではなく、活用の深さを追う指標を自社で持とうとする動きだ。
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