生成AIで仕事は速くなったのに、なぜ時短を実感できないのか 調査で見えた3つの理由(3/5 ページ)
生成AIの業務利用は広がりつつあるが、仕事が速くなった実感に比べ、全体の時短を感じる人は少ない。なぜ効率化が労働時間の削減につながらないのか。調査データから、その背景にある3つの理由と企業の課題を読み解く。
「利用率」よりも「成熟度」
タスクレベルでは効率化が確認できたが、労働時間全体の削減にはつながっていない。では、どうすれば成果に結び付くのか。田村氏は「利用率ではなく、成熟度という指標が必要だ」と指摘する。ライトユーザーも含まれる利用率だけでは、普及の実態を正確にとらえられないためだ。
同研究所は、10項目で構成する成熟度指標を作成。定型業務の補助といった基礎的なレベルから、業務プロセスを見直す応用レベルまで段階的に評価する。
成熟度と業務パフォーマンスの関係を見ると、成熟度の高い層は低い層に比べ、時間削減効果が約2.3倍、浮いた時間を付加価値の高い業務に充てる割合も約1.5倍に上る。利用の幅は約2倍広く、作業効率や品質創造性がいずれも高い。
「従業員の何割がAIを使っているか」ではなく、「どの程度の深さで使えているか」を見る目が求められている。
調査からは、成熟度の高い人材の特徴として、「問いを楽しむ」「他者に共有する」という志向性が強く見られた。年代別では20〜30代で高く、職種別では間接部門に加え、営業・販売職でも高い結果が出た。顧客対応の現場で日常的に試行錯誤を重ねる職種ほど、活用が深まりやすいことを示唆している。
組織側では「目先の成果よりも長期的な成果の追求」を重視する風土がある企業ほど成熟度が高い。加えて、AI活用に理解がある上司の存在や、チャレンジを奨励する風土や情報共有の機会の有無も関連が見られた。
田村氏は「短期的に削減時間を追いかけるのではなく、AIを活用しながら、業務をどう再構築していくかを組織として捉えることが重要だ」と指摘する。
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