パーソルHDが挑んだ4万人のBox導入 成功の鍵はMISOLが持つ「生きたノウハウと実装力」
4万人超のファイル管理をクラウドへ――安全性と利便性のジレンマに悩むパーソルHDを救ったのは、自らBoxを使い倒す丸紅ITソリューションズだった。ユーザー視点の「生きた知見」はいかにして大規模導入を成功に導いたのか。AI活用も見据えた同社の戦略に迫る。
「はたらいて、笑おう。」をグループビジョンに掲げ、人材派遣や転職サービス、ITアウトソーシングなどの人材関連事業を展開するパーソルグループ。持株会社のパーソルホールディングス(以下、パーソルHD)は、グループ全体のIT戦略やインフラ整備を主導している。
昨今、多くの日本企業がDXやワークスタイル変革を掲げる中、同社もグループ従業員がより柔軟かつ効率的に働ける環境づくりに注力してきた。その一環で着手したのが、従来のオンプレミス環境から脱却する、いわゆるクラウドシフトだ。
さまざまなシステムのクラウドシフトを進める中で重要だったのが、オンプレミス環境で長らく運用してきたファイルサーバをクラウドストレージに移行するプロジェクトだった。パーソルHDの姫路明宏氏は、プロジェクトの発端を次のように語る。
「オンプレミスで運用していたファイルサーバ基盤が2026年6月に更改期限を迎えることが決まっており、ストレージ環境をどうすべきかの議論がありました。当社は以前からクラウドシフトを推進していたため、単純なサーバの入れ替えではなくクラウドストレージへの全面移行を決断しました。同時に、課題だった『コミュニケーションが社内に閉じている』状況も改善したいと考えました」
かつての環境では、社外とのファイル共有にはメール添付などで対応していた。顧客やパートナー企業とやりとりが頻繁に発生する人材サービス業においては、この閉鎖的なコミュニケーション環境は生産性の足かせになっていた。
同社は、約20種類のクラウドストレージサービスを比較。容量無制限である点、リンクを介して社外とファイルを容易に共有できる点に加えて、ログ管理をはじめとするセキュリティ機能や監査への対応能力などを高く評価し、「Box」の採用を決定した。現在は、グループのほぼ全従業員に相当する約4万4500人が利用している。
Box活用の鍵「運用の壁」を乗り越えるためのパートナー選び
Boxの導入に当たり、パーソルHDはフォルダ構成やセキュリティガバナンスのポリシー設計、運用プロセスなどを慎重に検討した。セキュリティ対策を強化するだけでは、ユーザーの利便性が犠牲になる。かといって利便性を重視するあまりセキュリティ対策やガバナンスがおろそかになると、企業として大きなリスクを負う。
大規模組織において、セキュリティポリシーを順守しつつ利便性を損なわずに定着させるためには、どのような設計が必要なのか。Boxは機能が豊富で設定項目も多岐にわたるため、組織構造やセキュリティ要件に合わせてどの機能をどのように設定し、運用ルールを敷くのがベストなのだろうか。
統制と利便性の最適解を検討するために、パーソルHDは社内で検討するだけでなくBoxの導入・運用に関して豊富な実績と知見を持つ第三者の視点を入れるべきだとの結論に至った。BoxはSaaSのため新たな機能が次々と追加され、仕様が頻繁に変更される。これらに追随して自社の運用に落とし込むには、社内のリソースだけでは限界があった。
そこでパートナーに選ばれたのが、丸紅I-DIGIOグループの丸紅ITソリューションズ(以下、MISOL)だった。同社はBoxの販売代理店としてだけでなく、Boxの導入・活用支援サービスに定評がある。MISOLを採用した理由について、パーソルHDの塚本陽太氏は次のように語る。
「MISOL自身がBoxのユーザーであり、数多くの活用実績を持っていた点を高く評価しました。高度なセキュリティ要件と利便性を両立させた運用ルールを確立し、それを実践しています。『生きたノウハウ』を提供していただけるのではないかと期待しました」
パーソルHDは、MISOLの支援を受けてBoxの導入に着手した。支援に当たったMISOLの杉安隆之氏は、当時を次のように振り返る。
「当社はBoxに関して、自社とユーザー企業の豊富な知見を蓄積しています。これらを基に、パーソルHDさまの要件に合致する設計指針や事例情報を提供したところ、ほぼ完璧な計画書がすぐに返ってきました。おかげで極めてスムーズに導入作業を実行できました」
カスタマーサクセスサービスを通じた伴走支援
Boxの運用は、特に「フォルダ構成」と「権限管理」の方針、ルール策定が重要な鍵を握る。この点でMISOLの知見が大いに役立ったと姫路氏は語る。
「MISOLに、自社で運用しているフォルダ構成や権限管理を教えていただき、これを基に最適なフォルダ構成や権限管理を提案していただきました。もし自分たちだけでイチから考えていたら、膨大な時間がかかっていたでしょう。正解への“近道”を示してもらえたことで検討時間を大幅に短縮でき、4カ月程度で実運用をスタートできました」
運用開始後は、利用を促進させたり活用方法を模索したりするために、MISOLのカスタマーサクセスサービスのサポートを受けた。MISOLの稲垣宜彦氏は、その価値について次のように説明する。
「MISOLはBoxを売って終わりではなく、ユーザー企業がBoxを使ってビジネスを成功させることをゴールとしています。そのためには機能の説明に限らず、フォルダ構成の考え方や権限設定の勘所、ユーザー教育まで、私たち自身が実体験で培ってきた成功例や失敗談も含めたリアルな知見を提供し、伴走することが重要だと考えています」
現在もMISOLのカスタマーサクセス担当者はパーソルHDと定例会を重ねて、ユーザーから上がってくる細かな疑問や「こういう使い方はできないか」という要望に対応している。パーソルHDの見留和也氏は、そのスピード感と的確さを高く評価している。
「外部共有のリンクを設定する場合、『全社一律で禁止する』のか『特定の条件下で許可する』のかなど、判断に迷う場面は多々あります。そうした際、MISOLは『他社ではこうしています』『Boxの仕様上、ここまでは制御できますが、ここからは運用ルールでカバーする必要があります』など、即座にアドバイスしてくれます。われわれだけで調査や検証をしていたら、多大な時間がかかっていたはずです」
Boxの仕様変更や新機能に関する情報も、カスタマーサクセスを通じてタイムリーに入手できている。Boxからの公式アナウンスの情報だけでは、自社にとっての影響範囲を具体的にイメージしにくいことがある。だがMISOLのカスタマーサクセスは、アップデート情報の中からパーソルHDに影響があるものや活用メリットが大きいものをピックアップし、紹介しているという。
エコソリューションで“かゆいところ”に手が届く支援を
Boxの活用支援に加えて、MISOLが開発・提供しているアドオンツール群のエコソリューションも大きく貢献している。特に、ファイルサーバからのデータ移行では不可欠だったという。
大容量データの移行にはさまざまなツールが存在するが、事業部門が管理していた小規模なデータの移行には、ユーザー自身で簡単に操作できるツールが求められていた。そこで採用されたのが「Simple Uploader」だ。
「『ブラウザにドラッグ&ドロップしてください』とユーザーに案内しても、数百GBのデータをブラウザ経由でアップロードするのは不安定で、失敗も起きやすくなります。Simple Uploaderはクライアントソフトを通じて確実かつ高速にアップロードできるため、ユーザーにデータ移行を任せられました。情シス部門のリソースを圧迫することなく移行が実現しました」(見留氏)
このように、Boxの標準機能だけでは手が届かない“かゆいところ”を独自ツールで補完できる点も、Boxを知り尽くしたMISOLならではの強みと言える。
Boxの導入によって、パーソルHDはセキュアかつスムーズなコラボレーションが日常のものとなっている。社内からは「外部とのやりとりが楽になった」「ファイル容量を気にせず業務ができる」といったポジティブな反応が多い。
同社は現在、「Box AI」をはじめとするAI機能の活用を見据えている。Box内に蓄積された非構造化データを生成AIで活用できるようにすることで、データから新たな価値を発掘しようとしている。
「Boxに蓄積されたナレッジをAIに読み込ませれば、社内の問い合わせ対応の自動化や過去の提案書からの新たな資料の生成などに活用できるでしょう。Boxが単なる『ファイル置き場』から、AI時代の『情報活用基盤』に進化する中で、MISOLには引き続き、最新のAI活用事例やノウハウの提供を期待しています」(塚本氏)
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提供:丸紅ITソリューションズ株式会社
アイティメディア営業企画/制作:ITmedia ビジネスオンライン編集部/掲載内容有効期限:2026年4月10日









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