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「株主のための経営」が企業を弱くする? 内部留保という防波堤(1/2 ページ)

社運をかけた研究開発を行う際、どこから資金を調達するか? 経営者という立場で考えると、内部留保の重要性が見えてくる。

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この記事は『THE BEST WORK 「最高の仕事」を生きる』(原丈人著、サンマーク出版)の内容に一部編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。


 唐突だが、あなたが大企業の経営者の立場になったと想定し、少し考えてみてほしい。

 今、あなたの会社は社運をかけた「研究開発」を行おうとしている。問題は、このプロジェクトにかかる巨額の研究開発費をどう調達するかだ。研究開発は失敗する可能性もあるし、成功したとしても投入した多額の資金の回収には時間がかかる。

 こんな場合、あなたならどうやって資金を用立てるだろうか? 現実には次のような3つの選択肢がある。

  1. 金融機関から借りる
  2. 株主割当増資を行い、現在の株主から調達する
  3. 毎年コツコツと蓄えてきた内部留保を使う

 (1)の「金融機関からの借入金」はリスクを好まないお金だ。研究開発は成功するかどうか分からない。こういった用途に、「リスクを好まない」=「必ず返済しなければいけない」という性格を持つ資金を充てるべきではない。

 失敗した場合に回収の見込みがないとなれば、会社を潰すしかなくなってしまうからだ。

 (2)の「株主割当増資」の選択がうまくいく可能性はなくはないだろう。少数派だが、資金を投じて「新しい技術や新製品を作ること」が、中長期的な企業の繁栄には必要だと株主に理解されている場合だ。

 しかし、多くの場合は反対される。特に資金を預かって運用しているファンドマネージャーは、いま利益が出ているのに、失敗するかもしれない研究開発に資金をかける必要性を感じないだろう。

 なぜならば、ファンドマネージャーは何十年もその企業の繁栄を支える必要がないためだ。自らの任期を無事に全うすることが優先であるため、株主割当増資に同意しないことが多い。つまり、銀行も、株主も、自分たちにリスクが少ないので「安全」な使い方を好む傾向にある。

 消去法で考えると、答えは明白だ。残るのは、(3)「内部留保」となる。

 内部留保は、毎年の利益の中から積み立てられた資金だ。設備投資や土地への投資という形になっている場合も、資本準備金のように現金として持っている場合もある。いずれにしても、借入金や株主割当増資と違い、経営陣が自らの取締役会の考えで使うことのできる唯一のまとまったお金である。

 会社が自らの「未来」に向けて、リスクを承知の上で長年の蓄えを使うのはごく当たり前の発想だ。自分たちの未来に本気でかけることができるのは、自分たちなのだから。内部留保をコツコツと貯めることで、リスクのある大胆な研究開発にも資金をつぎ込むことが可能になる。言わば、内部留保は社員の未来に幸せを運ぶものだ。

© Sunmark Publishing,Inc.

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