「転勤に最大100万円」それでもなぜ解決しない? 企業が制度を見直す理由(3/5 ページ)
転勤一時金の拡充が進む中、大手企業でも「金額だけでは社員の納得感は得られない」という課題が浮上。サントリーHDや東京海上日動の制度改革を通じ、柔軟な転勤制度の必要性を探る。
東京海上日動も人事制度を刷新
東京海上日動は2026年4月から、人事制度を大きく刷新する。最大の変更点は、従来の「総合職」と「総合職(エリア限定)」の区分を撤廃し、一本化することだ。
新制度では、全社員が中長期的な生活拠点となる「本拠地」を設定し、転居を伴う転勤への同意の有無を毎年選択できる。ライフイベントに合わせて柔軟に対応でき、同意する場合も「国内外を問わない」か「本拠地を含む一定地域内」かを選べる仕組みだ。転居転勤に同意しなくても、評価や昇給に影響は一切ない。
従来は「社命による転居転勤の可能性があること」自体に対して、総合職に追加の手当を与えていたが、新制度では「実際に転居転勤している状態」に対して、手当を支給する形に転換する。
「転居転勤サポート手当」は月額10万〜13万4000円で、本拠地から赴任地までの距離に応じて変動する。この手当について、同社は「経済的負担や心理的負担に対する支給であり、転居転勤を促す目的で支給するものではない」と線を引く。
制度改定の背景には、共働きの普及や若年層の価値観の多様化がある。同社によると、首都圏を中心に「社命でどこに行くか分からない」という仕組みを敬遠する人が増えていた一方、地域採用では全国転勤の総合職募集がなかったことで、他社に人材が流れるケースがあったという。
新制度への移行にあたっては、数年にわたり労働組合との対話を重ねた。既存社員への適用にも、移行措置や経過措置期間を設け、処遇が急激に変動しないよう配慮した。
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