任天堂「ぽこ あ ポケモン」爆売れで株価急騰 “異色ゲーム”がもたらす長期的リターンとは?(2/3 ページ)
任天堂に起死回生の兆しが生まれた。AIブームに伴うメモリ部材価格の高騰による利益率懸念などを一変させたのが、「ぽこ あ ポケモン」だ。
「パルワールド」との、決定的な違い
本作を語る時、2024年1月に発売された「パルワールド(Palworld)」の存在が脳裏をよぎるのは私だけだろうか。
同作は、ポケモンとの類似性が指摘されたモンスターデザインと、サバイバルクラフト要素を組み合わせ、発売1カ月あまりで2500万プレーヤー、推定700億円近い売り上げを叩き出した。
両作品は「モンスターと共に生活するクラフト系ゲーム」という大枠では同じカテゴリに見えるが、ゲーム体験の設計思想は根本的に異なる。
パルワールドの核心は「サバイバル」だ。
プレーヤーは時間経過で消費する「空腹ゲージ」がゼロにならないよう管理し、敵対NPC(プレーヤーが操作しないキャラクター)や野生モンスターとリアルタイムで戦闘する。捕獲したパル(モンスター)は拠点の農作業や工場労働に従事させ、効率的な生産ラインを構築するリソースとして機能する。
「パルを解体して食べる」「労働させる」といった、ポケモンシリーズではタブーとされるようなダークな表現を逆手に取り、その毒気のあるユーモアがSNS上での話題性を加速させた。
一方「ぽこ あ ポケモン」の核心は「共存」である。
本作には戦闘システムそのものが存在しない。空腹ゲージもなく、死の概念もない。
メタモンが出会ったポケモンの技を見て覚える。フシギダネの木の葉で緑を増やし、ゼニガメのみずでっぽうで枯れ草に水をやる。
ポケモンは「使役する労働力」ではなく、「一緒に暮らす隣人」として描かれる。ゲーム内時間は現実と連動し、空腹のために急ぐ理由がどこにもない。
この対比は、同じ「モンスター×クラフト」というフォーマットの中で、IPの思想がゲーム体験をどこまで分岐させるかを示している。
パルワールドが「ゲーマーが潜在的に求めていたポケモン体験」を外側から実現したのだとすれば、ぽこ あポケモンは「ポケモンの世界観でしか成立しない体験」を内側から定義し直したというべきだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
サンリオ株価、まさかの「ほぼ半値」に……なぜ? ジャパンIPに降りかかった災難の正体
今もなお業績を伸ばしているはずのサンリオ株が、前年の最高値から半値近い水準まで売り込まれている。これはなぜだろうか。決算資料や各地の市場動向を詳細に読み解けば、株式市場の評価とは乖離した実態が浮き彫りになる。
書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。気になっていた質問をぶつけてみた。インタビュー後編。
壮大な"AIチキンレース"か ソフトバンクG株11%急落が示す「技術陳腐化」の足音
1枚2万円したSDカードが、いまや100円でも売れない。この『記憶の暴落』は、AIの未来を予言しているのではないか。
「SaaSの死」に続く「コンサルの死」? AIエージェント登場で、株価暴落のコンサル業界はどうなるのか
AIエージェントの登場で、コンサルティング業界の株価が暴落した。今後コンサル業界はどのように収益を上げていくべきなのか?