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火葬炉の中に入って分かった、火葬場経営を苦しめる「見えないコスト」の正体:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
東京都内で6つの斎場(火葬場)を運営する東京博善。その「火葬炉の中」に入って分かった、経営に最も打撃を与えている「見えないコスト」の正体とは――。
苦しい胸の内
求人を出しても「この仕事をしたい」という若い人材がなかなか現れない。採用しても定着せず、辞めてしまう人も少なくないという。求人サイトの募集要項を見ると想定年収は400万〜620万円。この分野の求人としては悪くない条件であるにもかかわらず、なぜ職人を志す者が定着しないのか。同社の経営幹部が苦しい胸の内を明かす。
「すごくやる気もあった人がいきなり辞めてしまうことがあるんですが、その理由として多いのは、ご家族から『わざわざ火葬場で働かなくてもいいのではないか』と言われてしまうことです。ご年配の方などには、過去の“迷惑施設”というイメージがあるようです。ですから弊社の採用の場では必ず『ご家族の方の理解は得られていますか?』と確認するようにしています」
採用や人材の定着は、多くの企業を悩ます共通課題だ。東京博善の場合は「死」という一般的に敬遠されがちなものにかかわる職業ということもあり、厳しい面があるのも事実だという。
職人の専門的技術をどう受け継ぐか。それ以前に、若い人材をどう定着させていくのか。これらの努力に費やされる労力は、帳簿や財務諸表には表れないため「見えないコスト」と呼ばれる。それは東京博善にとっても、頭の痛い問題となっている。
ただでさえ、原料や人件費という「見えるコスト」が昨今の物価高騰の影響で、重くのしかかってきているからだ。
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