なぜ大阪と浅草でニュースが“逆”になるのか 中国人観光客報道の舞台裏:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
中国政府による「日本観光自粛」の影響が、報道するメディアによって真逆の内容になっている。なぜこのような事態が起きているのかというと……。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「あれ? ちょっと前に観光業が大打撃だみたいなニュースが流れてなかったっけ?」「どっちを信じりゃいいんだよ、メディアってホントいい加減だな」
そんな文句がSNS上にあふれている。中国政府による「日本観光自粛」の呼びかけによって「観光業が打撃を受けていて、2026年の旧正月が怖い」というニュースが流れる一方で、「影響は限定的でむしろ観光公害が緩和されて業界的には新たなビジネスチャンス」という真逆のニュースも流れているからだ。
前者の典型例は、11月23日配信の『ABEMA TIMES』のニュースだ。
- 亀裂深まる日中関係 飲食業・観光業関係者から悲鳴「勘弁してほしい」インバウンドへの影響が出るのは来年2月の“旧正月”がピークか「2月の旅行を決めるのが12月、1月」(2025年11月23日 ABEMA TIMES)
このニュースでは観光業界だけではなく、貿易の中国依存がG7の中で日本が飛び抜けて高いことから、日本経済に大きな影響があると伝えている。一方で後者の代表はどんなものかというと、『産経新聞』が11月30日に配信したこちらの記事だ。
- 中国の渡航自粛から半月 観光産業、一部で影響も冷静受け止め 中国依存脱却カギ(2025年11月30日 産経新聞)
この記事に登場する観光業者は、悲鳴を上げるどころか「売り上げはほとんど変わらない」「危機感はない」と、中国人観光客の減少などまったく意に介していないのである。
同じ経済問題を取材して報道しているにもかかわらず、なぜ180度異なる報道になるのか。
「それは中国にこびる偏向マスゴミのせいだ!」という怒りの声が聞こえてきそうだが、メディアの世界で長く働いてきた経験から言わせていただくと、そういうイデオロギー的な問題よりもニュースをつくり出す側のシステムエラー的なことのほうが大きい。
そのエラーとは何かというと、経済分野に限らず、あらゆるニュース報道というものが、多くの人たちに伝えようとすればするほど「ポジショントーク」になってしまうのだ。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
「スーパー戦隊」終了の理由は? レッドだけが残った、少し切ない現実
シリーズ終了が発表された「スーパー戦隊」。主な原因は週刊誌に報じられた「戦隊内不倫」という話もあるが、それ以前に「シリーズ終了」は時間の問題だった可能性がある。なぜかというと……。
「日中関係の悪化」で仕事はどうなる? 900万人が不安を感じる“もしも”の話
高市首相と中国政府の間で、引くに引けない「謝ったら負けレース」が繰り広げられている。もし日中関係が今後さらに悪化した場合、日本のビジネスへの影響は――。
なぜラーメン二郎は信者を生むのか 支配と服従がもたらす“中毒性”の正体
ラーメン二郎府中店がXに投稿した「食事は20分以内」の“お願い”が話題になっている。「客を支配している」と批判する人もいるが、むしろ日本では今後そうした店舗が増えていくのではないか。その理由は……。
