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火葬炉の中に入って分かった、火葬場経営を苦しめる「見えないコスト」の正体スピン経済の歩き方(7/7 ページ)

東京都内で6つの斎場(火葬場)を運営する東京博善。その「火葬炉の中」に入って分かった、経営に最も打撃を与えている「見えないコスト」の正体とは――。

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「多死社会」に突入する日本で

 高齢化が進む日本は、これから「多死社会」に突入する。試算によれば、2030年の死亡者数は160万人に達し、東京都だけでも15万人が亡くなる。これだけの膨大な遺体に対して「火葬待ち」などが発生しないよう、火葬場の運営を安定させることは、極めて重要だ。ただ、実はそれと同じくらいに「火葬を支える人材」をどう確保していくのかも喫緊の課題であり、日本の国家戦略と言ってもいい。


(出典:ゲッティイメージズ)

 しかし、そんな重要な仕事を担ってくれている人々に対する社会の理解は、驚くほど乏しい。「公共インフラ」という言葉を持ち出しながら、「高い! 火葬なんて1万円くらいだろ」と言うだけで、そこで働く人々への敬意もねぎらいもない。膨れ上がる火葬のコストについても、「そんなに高いなら国か自治体が払えばいいじゃん。財源? そんなもんどうにかなるだろ」と、どこまでいっても「他人事」だ。

 東京博善の場合、親会社の広済堂ホールディングスの会長・CEOが中国人であることから、いまだに「中国資本が火葬料金を釣り上げている」「日本の火葬場が中国に乗っ取られた」などと、SNSなどで喧伝(けんでん)しているインフルエンサーもいる。当然、採用にも少なからず影響が出ているという。

 火葬場に重くのしかかる「見えないコスト」の中で、経営に最も打撃を与えているのは「世間の偏見」かもしれない。

窪田順生氏のプロフィール:

 テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル

 近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受


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