インタビュー
シニアはなぜ生かされないのか 生涯賃金15%増の会社が変えた“処遇”(1/5 ページ)
シニア就業者が増える一方、企業の3社に1社が60代社員を「過剰」と認識する。背景にあるのは年齢で処遇を下げる制度だ。生涯賃金15%増を実現した企業の事例から、シニア活用の再設計を探る。
労働力に占めるシニアの割合が増えている。65歳以上の就業者数は930万人に達し、就業者全体の7人に1人を占める(総務省の統計)。しかし、その力を企業は十分に生かしきれているだろうか。
パーソル総合研究所の調査によると、60代社員を「過剰」「やや過剰」と認識する企業は、合わせて35.6%に上る。原因は人数ではなく、給与を60歳で一律に引き下げることで生じるモチベーションと生産性の低下にある。
60歳での処遇見直し時には、8〜9割の企業が年収を引き下げ、その低下幅は平均28%に上る。見直し基準は「全員一律」が3割を占めるが、60代前半では約4割、65歳以上では約5割が、ほぼ同じ職務内容であるにもかかわらず給与だけが下がっている。
さらに、低下幅が大きいほど、企業がモチベーション低下を課題として挙げる割合も高まる。
意欲の低下は生産性に直結し、それが「シニアは戦力にならない」という企業側の認識を強める。制度が生んだ問題を個人の能力の問題にすり替えてしまう。この負の循環こそが、シニア活用の最大の壁だ。
一方で、約7割の企業が高度専門職レベルの人材不足を感じているにもかかわらず、50〜60代はその担い手として期待されにくい。人手は足りないのに、シニアの力が生かされていない実態がうかがえる。
この課題に対し、処遇と配置の両面から制度の再設計に踏み切った2社に話を聞いた。
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