シニアはなぜ生かされないのか 生涯賃金15%増の会社が変えた“処遇”(2/5 ページ)
シニア就業者が増える一方、企業の3社に1社が60代社員を「過剰」と認識する。背景にあるのは年齢で処遇を下げる制度だ。生涯賃金15%増を実現した企業の事例から、シニア活用の再設計を探る。
生涯賃金15%増を実現した「成果重視」
生命保険会社の太陽生命(東京都中央区)は2017年、業界に先駆けて65歳定年制と最長70歳までの継続雇用制度を導入した。同時に、一定の年齢に達すると自動的に給与が下がる役職定年制と特別職員制度を廃止。年齢ではなく、成果で処遇する体系への転換を図った。
従来の制度では、57歳で役職定年を迎えると給与は約80%に下がり、60歳以降の継続雇用では、さらに役職定年前の30〜40%まで落ち込んだ。
優秀な人材であっても、年齢を理由に自動的に処遇が下がる仕組みだったが、改定後は65歳の定年まで年齢を理由とした給与減はなくなり、生涯賃金は平均で15%以上増加した。
制度を変えた背景には、バブル期採用の偏りによる将来の管理職不足や、晩婚化で60代でも子育て中の社員が増えたことがあった。2016年に始動した「太陽の元気プロジェクト」で、健康で長く働ける職場づくりを経営課題に位置付けたことも後押しした。
しかし、制度導入にあたって労働組合との協議では「シニアが管理職に長くとどまれば、若手の登用機会が減るのではないか」との不安の声も寄せられた。この声に対し同社は、管理職への早期登用のロールモデルを示すとともに、昇格・降格の要件を厳格化した。
入社6年目で課長、30代前半で支社長に就くケースを実際に生み出すことで、全世代が成果で競う環境を整えた。現在、58歳以上の管理職比率は約15%。60歳を超えてライン部長を務める社員もいる。
シニアの処遇を引き上げるだけでは、人件費の膨張で終わるが、成果主義とセットにし、昇格も降格もあり得る仕組みにしたからこそ、持続可能なものとなっている。
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