シニアはなぜ生かされないのか 生涯賃金15%増の会社が変えた“処遇”(3/5 ページ)
シニア就業者が増える一方、企業の3社に1社が60代社員を「過剰」と認識する。背景にあるのは年齢で処遇を下げる制度だ。生涯賃金15%増を実現した企業の事例から、シニア活用の再設計を探る。
67歳まで「現役」で働く選択肢
大和ハウス工業(大阪市)は、2013年に定年を65歳へ引き上げ、2022年に役職定年を廃止。2025年4月からは、社員が定年を65歳か67歳かを選べる制度を導入した。技術系職種については年齢上限を事実上撤廃し、意欲と能力があれば働き続けられる体制を整えている。
定年を65歳以上とする企業は、全体の32.6%(厚生労働省調べ)で、67歳まで用意する企業はごく少数だ。ここまで踏み込んだ背景には、建設業界に共通する深刻な技術者不足がある。
高度な専門知識や現場経験を持つ人材の確保が年々難しくなる中、「年齢のみを理由に活躍の場を限定するのではなく、意欲と能力のある社員には長く活躍してもらうことが企業の持続的成長につながる」との判断が、段階的な制度拡充を後押しした。
制度だけでなく、「受け皿」も同時に設計しており、専門性を生かした技術指導や現場でのOJT、プロジェクトへの参画を通じて、若手への知見の継承を進めている。現場からは「安心して働き続けられる」「経験を生かせる場がある」との声が寄せられている。
受け皿のない制度変更は、別の形で人材の滞留を招きかねない。役職定年の廃止を導入するには、「どこで生かすか」の設計をセットで考える必要がある。
採用面でも効果が出ており、50代以上の中途採用は前年度比250%増。他社で役職定年を迎えた経験豊富な技術者が、年齢で評価されない環境を求めて転職してくるケースが増えているという。若手にとっても「長く安心して働ける会社」という安心材料になっている。
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