インタビュー
シニアはなぜ生かされないのか 生涯賃金15%増の会社が変えた“処遇”(5/5 ページ)
シニア就業者が増える一方、企業の3社に1社が60代社員を「過剰」と認識する。背景にあるのは年齢で処遇を下げる制度だ。生涯賃金15%増を実現した企業の事例から、シニア活用の再設計を探る。
「何歳まで雇うか」の先へ
定年引上げの流れは加速している。厚生労働省の調査では、「定年の引上げ」を選ぶ企業は31.0%と増加傾向にあり、70歳までの就業確保措置を実施済みの企業も34.8%と初めて3割台に乗った。
ただし、雇用期間を延ばすこと自体は解決策にならない。仕事が変わらないまま、給与だけを下げる構造が温存されれば、モチベーション低下の期間が長くなるだけだ。
「年齢ではなく、役割と成果で処遇する」という設計思想は、企業規模を問わず適用できる。むしろ厚労省の同調査では、70歳までの就業確保措置の実施率は中小企業(35.2%)が大企業(29.5%)を上回っており、柔軟な対応力はむしろ中小企業に強みがある。
大がかりな制度改革ではなく、まずはシニアの役割を見直し、それに応じた処遇を設計するところから始められる。
太陽生命と大和ハウスに共通しているのは、年齢による一律の制限を取り払い、役割と成果で処遇する仕組みに切り替えた点だ。アプローチの規模や背景は異なるが、設計思想は同じだといえる。
問われているのは、もはや「何歳まで雇うか」ではない。シニアに何を期待し、何に対して報いるのか。その答えを制度として形にできる企業が、労働力不足の時代に選ばれる組織になっていくのではないだろうか。
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