業務を「3000項目に分解」 NTTファシリティーズが追求した「出社の価値」を見つける方程式(2/4 ページ)
コロナ禍を経て「なぜオフィスに来るのか」という根本的な問いに答えを出せずにいる企業は少なくない。NTTファシリティーズは意義のある出社を実現するため、全組織の業務を約3300項目に分解した。同社のオフィスリニューアルの詳細を聞いた。
業務を3000項目に“分解”する
オフィスリニューアルに際し、NTTファシリティーズは出社することを義務ではなく「価値のある選択である」とした。その核となるのが「同時性」「共感性」「偶発性」という3つのキーワードだ。
同時性は対面ならではのスムーズな会話・空気感を、共感性は心理的安全性の確保による相互理解を、偶発性は共感した状態から生まれる想定外のアイデアをそれぞれ指す。いずれもリモートワークでは得にくい価値を言語化したものだ。
では具体的に、オフィスに来てやるべき仕事とは、一体何か。その答えを出すために同社が実施したのが、全業務を対象にした「アクティビティ分析」だ。
木村氏らは、作成したフォーマットを各組織に配布し、業務を活動単位に分解した。フォーマットにはそれぞれの活動にかかわる人数、集中して行うものか対話が必要なのかといった状況、創造的か定型的かといった評価項目が記載されており、業務に必要な行動ごとに評価する形式だ。その結果、業務プロセスにおけるアクティビティ約3300項目のうち、出社して行うべきアクティビティを約950項目に絞り込んだ。
2021年初めから約半年間かけて各組織で業務を分解し、最終的に約950項目のアクティビティを「同時性」「共感性」「偶発性」の3軸で点数化。このデータを活動の人数規模と組み合わせてマッピングし、それぞれ働き方に適した場所の検討を進めたという。
フォーマットへの記入を依頼された際、各組織からは困惑の声が多かったという。しかし「大変だったけど、やってよかったという声をいただいています」と木村氏は振り返る。業務を活動単位で書き出すプロセスは、各組織にとって自分たちの業務フローを改めて整理する機会にもなった。また「隣のチームが何をしているか」を把握できたという声もあり、オフィス設計という本来の目的を超えた組織理解の効果をもたらした。
アクティビティ分析と並行して、41部署51人の社員が参加したワークショップを4回実施。寄せられた声は「リアルチームワーク」「エンゲージメント」「コラボレーション」の3つのキーワードに集約され、オフィスのコンセプトと空間設計に直接反映していった。
こうして緻密な分析と社員の声を積み上げてきたプロジェクトだったが、想定外の出来事があった。「プロジェクトの進行中に分社があり、床面積や社員数というオフィスリニューアルのそもそもの前提がまるっとひっくり返りました」(木村氏)
しかし「なぜオフィスに来るのか」を「同時性」「共感性」「偶発性」という軸として言語化していたからこそ、オフィスリニューアルの前提が変わっても設計の根幹はぶれなかった。予想外の出来事を乗り越え、2025年7月にリニューアルオフィスは全面オープンを迎えた。
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