業務を「3000項目に分解」 NTTファシリティーズが追求した「出社の価値」を見つける方程式(4/4 ページ)
コロナ禍を経て「なぜオフィスに来るのか」という根本的な問いに答えを出せずにいる企業は少なくない。NTTファシリティーズは意義のある出社を実現するため、全組織の業務を約3300項目に分解した。同社のオフィスリニューアルの詳細を聞いた。
社員の満足度を維持し続けるために
こうした一連の取り組みは、社員の働き方にどのような変化をもたらしたのか。リニューアル後のエンゲージメント調査では「自身の作業環境で効率的に働けているか」の項目が、リニューアル前と比較して12ポイント上昇した。最新のデータでは、同項目がさらに3ポイント上昇。「コラボレーションが実現できているか」についても、リニューアル直後と同水準を維持している。
オフィスリニューアルの効果は初期に集中し、時間とともに薄れていくことが多い。そんな中、なぜ同社では効果の維持・向上が可能なのか。岩崎氏は「選べる自由」の定着を挙げた。「オフィスリニューアルで働きやすくなっただけでなく、どこで、どのように働くかを自分で選べるという感覚が、社員の日常に根付いてきたからだと感じています」(岩崎氏)
加えて、継続的な改善サイクルも大きな役割を果たしている。「設備が壊れたらすぐ直す。社員から要望が来たら速やかに対応する。地味に見えますが、こういった積み重ねがオフィスへの信頼や満足度につながっているのではないでしょうか」(齊藤氏)
また、ハード面の整備だけでなく、社員への「伝え方」の工夫も、評価に影響していると考えられる。木村氏がとりわけ力を入れるのが、毎月実施する「社内オフィスツアー」だ。
資料を配るだけでは使い方や設備の情報が社員に届かないという課題から始まった取り組みで、ツアーに参加することで、社員が自分たちのオフィスを深く理解し、自らの言葉で語れるようになることを目指している。直近オンラインで行われたツアーには250人近くが参加しており、社員の関心の高さがうかがえる。
令和のオフィスに必要な「育て続ける」意識
新しいオフィスについて、木村氏は「及第点」と答えた。「オフィスは育て続けるものです。だから、永遠に満点にはなりません」
NTTファシリティーズが示したのは、オフィスリニューアルの「答え」ではなく、問い続けるための「構造」だ。「なぜオフィスに来るのか」を言語化し、データで検証し、社員の声で更新していく。そのサイクルを組織に根付かせることこそが、現代のオフィスの在り方の本質なのではないだろうか。
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