「えっ、ここに泊まるの?」函館駅の線路脇に客室 “建てないホテル”はなぜ成立するのか(3/3 ページ)
JR函館駅の線路脇に設置された宿泊施設「JRモバイルイン函館」。建物を建てずトレーラーハウスを置くことで、通常はホテルが難しい場所でも営業を可能にした。南極で培われた技術を活用し、「泊まる場所」の新たなあり方を提示する。
「こうした使い方もある」という提案
ミサワホームの担当者が胸を張って、言い切る背景には「南極」での実績がある。あまり知られていないかもしれないが、同社は1968年に昭和基地の建設に携わり、累計36棟を手掛けてきた。
2019年には、昭和基地から1000キロほど離れた地点で観測するために、移動式の住居(トレーラーハウス)を提供している。氷点下数十度という厳しい環境でも、観測隊が長期間暮らせるよう、断熱性や気密性を高めてきた。このときに培われた技術が、今回の宿泊施設に生きているのだ。
さらに視野を上げると、この技術は宇宙にもつながろうとしている。宇宙航空研究開発機構との共同研究では、月面基地の構築に向けた検討も進んでいる。トレーラーハウスを連結して、月でも拡張していく。そんな構想を描いているようだ。
JRモバイルイン函館は、こうした技術を背景に持つ施設だが、その本質はどこにあるのか。ラグジュアリーさやおもてなしを競うのではなく、「こうした使い方もある」という提案に近い。
建物を新たに建てるのではなく、トレーラーハウスをその場に置く。これまで空き地のままになっていたり、線路脇のように用途が限られていたりした場所に、「泊まる」という選択肢を加えた。
こうした発想が広がれば、「えっ、こんなところに泊まるの?」という場所は、まだまだ増えていきそうだ。チェックアウトの際、「では、次は南極で。いや、月にしようかな」といった声が聞かれる日が来るかもしれない。
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