まるで鮮魚の百貨店「角上魚類」が“魚離れ”の逆風をものともせず、成長を続けられるワケ(3/3 ページ)
「魚離れ」が叫ばれる中、鮮魚を中心に取り扱う角上魚類が絶好調だ。なぜ、逆風の中でも成長を続けられているのか。
豊富な品ぞろえ、安い価格を維持できるカラクリとは?
角上魚類がスーパーよりも低価格で商品を販売できるのは、市場から直接仕入れて中間コストを削減しているためだ。対して一般的なスーパーは市場の買参権がないため、卸売業者から魚を仕入れることがほとんどである。公開情報によると、角上魚類は下記のような戦略で差別化を図っている。
- 豊洲市場と新潟の中央卸売市場から毎朝仕入れ、その日のうちに店頭まで輸送する
- 魚の種類を限定するのではなく、安く仕入れられる魚を優先して仕入れる
- 配送は自社で手がける
- 店舗は新潟から直送できる場所に出店(関越自動車道付近)
- 魚の専門知識を持った人員を多数配置する
豊富な品ぞろえを実現し、加工などの細かいニーズに対応するためには人件費がかかってしまう。自社での仕入れと配送により、安さを実現できるわけだ。一般的なスーパーでは精肉・青果・加工食品など全方位に対応する必要があるため、角上魚類のような安さ・品ぞろえを鮮魚で実現するのは難しいだろう。
「魚離れ」が逆説的に成長の要素に
先述の通りメディアへの露出を通じて知名度が向上したことも成長の一因だが、スーパーの「魚離れ」も角上魚類の成功をもたらしたと考えられる。
肉食により日本人1人当たりの魚消費量が減少し続ける中、スーパー各社は鮮魚コーナーを縮小し、他の食品に注力してきた。街の鮮魚店も1970年代をピークに減少が続いている。こうした状況で、逆張りの角上魚類は注目を浴びたのだろう。
似たような業態には小売り事業で80店舗弱(2024年3月末時点)を展開する「魚力」が存在するが、こちらは駅ナカなどにも出店しており、首都圏のロードサイドで角上魚類のライバルは現れていない。品ぞろえや価格の面で食品スーパーよりも優位性があるため、成長のポテンシャルは大きい。
しかし、別メディアの取材によると、現会長はやみくもな出店をしないと決めているようだ。新店に魚に詳しい人員を配置した場合、既存店の人員が不足するというのがその理由だという。角上魚類は地域密着型の鮮魚専門店として定着しそうだ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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