ChatGPTユーザーが陥っている”落とし穴” ビジネスで差をつけるAI対話力の磨き方(4/4 ページ)
生成AIの登場により、ビジネスパーソンの行動プロセスは大きく変化した。検索という行為そのものが不要になってきている今、自分で考える姿勢を持てないビジネスパーソンが増えている。これからのAI検索時代に自分で考える姿勢を培うため必要な「3つのR」とは?
AIとの対話に必要な「3つのR」
自分で考える姿勢を培うため、AIをコーチング的に使い、ラリーを繰り返すには具体的にどうしたら良いのか。端的に言えば、キャッチボールを続けることだ。AIが投げ返してきたボールを受け取って終わりにするのではなく、もう一球投げ返す。その「もう一球」のヒントとして、コーチングの実践知に基づく「3つのR」である「Reframe」「Reconnect」「Reflect」を紹介したい。
(1)Reframe(リフレーム):前提を取り払い、問いの枠組みを変える
Reframeの「Frame」は「枠組み」のこと。つまり、Reframeは、一度組んだ枠をもう一度組み直すことだ。コーチングの場においてコーチ役は、相手が無意識のうちに持っている前提を取り払い、別の枠組みで考えることを促す。枠組みを変えるだけで、景色が一変することがある。
AIとの対話でも「自身の『隠れた前提』は何か?」「『別の枠組み』で考えられないか?」を問うことが、思考を深めることにつながる。
(2)Reconnect(リコネクト):別々のテーマの間につながりを見つける
Reconnectの「Connect」は「つなぐ」こと。Reconnectとは、バラバラに見えていたものをもう一度つなぎ直すことだ。コーチングでは、相手の話の中に出てきた別々のテーマについて「この2つがつながっているとしたら?」と問いを投げることがある。一見無関係に見えたもの同士がつながった瞬間、本人も気づいていなかった発見が生まれる。
AIとの対話でも、今話しているテーマと、過去に話していたテーマで「実はつながっているものはあるか?」を問いかけてみる。人間には見えにくいつながりを、AIが見つけてくれることがある。
(3)Reflect(リフレクト):問いを通じて、自身の現在地を映し出す
Reflectの「Flect」は「反射する」こと。Reflectとは、改めて自分を鏡に映し出し、現在地を知ることだ。コーチングでは、コーチがさまざまな角度から問いを投げることで、クライアントが自分自身の現在地を知る場面がある。鏡のように映し出されることで、自分がどこにいるのか、どこに行きたいのかが見えてくる。
会話の中で「ここまでの自分の思考を、第三者の目で整理して」とAIに問う。自分の中にあるものを外から映し出してもらうことで、次の一歩が見えてくる。
以上が、AIをコーチとして活用するための「3つのR」のフレームだ。
“ググる”時代もAI時代も、差を生むのは「反復力」
最後に、冒頭の問いに戻ろう。ググる時代に身に付けた力は、AI時代にも通用するのか。筆者の答えはこうだ。手段はガラッと変わったが、差を生むのは今も昔も「反復力」であることに変わりはない。
検索の時代には、検索結果を鵜呑みにせず、複数のページを回遊したり、キーワードを変えて繰り返し検索したりする人が他者と差をつけた。
AI時代においては、自分が知識として知らないことは「Teach」的にAIを活用すればいい。差がつくのはその先だ。思考を深めるべきテーマについて、いかに「Coach」的にAIを活用し、会話のラリーを繰り返すことができるかだ。
前提を問い直し(Reframe)、つながりを見つけ(Reconnect)、自分を映し出す(Reflect)。この「3つのR」つまり「反復力」が、1.7ラリーで終わる対話を、自分の考える姿勢を深める対話に変える。
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