ナイキ、好業績もまさかの株価大幅下落…… 「ルンバ」の苦境との共通点(2/4 ページ)
市場が見たのは、四半期の「過去の数字」ではなく、ナイキが直面する構造的な逆風の深刻さだった。
「オワコン化」の予兆は、すでに1年半前から見えていた
筆者は2024年10月、「ナイキ『オワコン化』の足音 株価急落、新興シューズメーカーが影」と題した記事で、ナイキの構造的な凋落リスクについて指摘した。
当時すでに、ナイキの株価は年初来で24%下落し、同期間に21%上昇したS&P500と明暗が分かれていた。加えて、全地域で売り上げがマイナスに転じていた。
あれから1年半。残念ながら、ナイキを取り巻く環境はさらに悪化している。
オン・ホカの勢いが止まらない
ナイキの苦境を語るうえで避けて通れないのが、スイス発の「On(オン)」と、フランス生まれの「Hoka(ホカ)」という二つの新興ブランドの躍進だ。
オンの勢いは当時よりも増している。2025年通期の売上高は前年比30%増の30億1400万スイスフラン(約6013億円)に達し、粗利益率は62.8%という水準を記録した。2026年の売り上げガイダンスも、為替が一定とした上で少なくとも23%の成長を見込んでおり、2023〜26年の年平均成長率(CAGR)は30.5%以上を維持する見通しだ。今ではランニング愛好家から都市生活者まで幅広い支持を集めている。
ホカを擁するデッカーズ・アウトドアも好調だ。ホカブランドの売り上げは2026年度第2四半期に前年比11.1%増を記録し、通期では10%台前半の成長を見込む。厚底ソールによる圧倒的なクッション性で、ランニングシーンだけでなくリカバリーシューズやタウンユースにまで浸透し、ナイキが取りこぼした「快適性」を求める消費者層を的確に取り込んでいる。
かつてナイキが独占していた「イノベーションのあるシューズブランド」というポジションは、いまやオン・ホカに侵食されつつある。ナイキがDTC(Direct to customer)偏重戦略の軌道修正に手間取る間に、新興勢力は着実にシェアを奪い続けていたのだ。
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