「データセンター」の中ってどうなってるの? 潜入して分かった、生成AIを支える「冷却技術の進化」(1/2 ページ)
千葉県印西市に新たなデータセンターが開業した。AI時代に対応したデータセンターの内部に潜入して、冷却技術の進化を見てきた様子をレポートする。
データセンターが集積していることから“データセンター銀座”と呼ばれる千葉県印西市で、新たなデータセンター「NRT14」が4月8日に稼働した。生成AIに代表されるAI向けインフラの需要を取り込むために、高度な計算処理に対応できる冷却・電源設備を備えている。三菱商事と世界に300以上のデータセンターを保有する米Digital Realtyとの合弁会社MCデジタル・リアルティ(以下、MCDR)が運営する。
AI用インフラは、従来のITインフラと設計や運用方法が異なる。特に、AI処理に適したチップは発熱しやすく、冷却に多くの電力を消費する。NRT14は、約25メガワットの電源容量を備えており、これは一般家庭5000〜8000世帯の最大消費電力に相当する(電力会社の電気料金プランを基に1世帯当たり30〜60アンペアで計算)。
新しい冷却技術も取り入れている。チップの性能向上に伴って、冷たい空気でサーバを冷やす従来の「空冷方式」では間に合わなくなってきた。NRT14は、特殊な液体を循環させてチップを冷やす「液冷方式」に対応した設備を導入している。
AI時代に対応したデータセンターの内部に潜入して、冷却技術の進化を見てきた。その模様をレポートする。
「データセンター」潜入 生成AIを支える「冷却技術の進化」とは?
MCDRのデータセンターでは、企業やクラウドサービス事業者が自社のサーバを設置できる「コロケーション」サービスを1ラック(棚)単位で提供している。サーバの運用・管理は、MCDRが24時間体制で行う。
最適なAIインフラの導入を支援するために、機器や技術の性能を評価・検証できる施設「MCデジタル・リアルティ イノベーション ラボ」(DRIL:Digital Realty Innovation Lab)を隣接するNTR12に開設した。
DRILでは液冷却に対応する高密度型サーバを無料で提供する。企業は空冷/液冷といった冷却方式の比較、AIインフラの性能評価や電力密度の検証を、本番環境で実施できる。メーカーなどと協力して「AIインフラの理想的な構成」を提示するとともに、事前確認によってスムーズな導入を後押しする狙いだ。
DRILはサーバルームの1室にある。ラックには各社のさまざまな技術が展示されている。
富士通の子会社エフサステクノロジーズ(神奈川県川崎市)が手掛けるサーバ「PRIMERGY」や、半導体商社のマクニカが取り扱うデータセンター向けネットワーク機器など複数ベンダーの製品が並ぶ。多種多様な機器をそろえることで、顧客のニーズに応える狙いだ。
液冷方式に対応したサーバラックは、背面に太い管が何本も通っている。ここに特殊な冷却液を流してサーバやチップを冷やしている。
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