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なぜ「鰻の成瀬」は失速したのか 400店→270店、再建のカギはAIか職人かスピン経済の歩き方(1/6 ページ)

約400店舗まで急拡大していた「鰻の成瀬」が、約270店舗まで減少している。復活に向けて、同チェーンが生き残る道とは……。

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スピン経済の歩き方:

 日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。

 本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。

 急成長プレーヤーの代名詞だった「鰻の成瀬」が、ここにきて急失速している。

 2022年9月に1号店を横浜に開業してから、職人の要らない標準化されたオペレーションと安さを武器にしてフランチャイズ化を進め、一時は約400店舗まで拡大。それが2025年から大量閉店が続き、現在は約270店舗まで減少しているのだ。


鰻の成瀬の「うな重」(出典:フランチャイズビジネスインキュベーションのプレスリリース)

 外食の専門家らによれば、この不振は「迷走」が原因だという。鰻の成瀬が急成長していた際には、中国産の養殖ニホンウナギを使った「うな重」(1600円、並)を格安提供し、この一本で勝負していたが、これに「特上」の国産ウナギや「並」の米国産ウナギを加えたことで、メニューが複雑化。その結果、他のウナギ専門店との差別化が難しくなったという。

 冷凍ウナギを専用のスチームコンベクションオーブンで温めて提供するスタイルだが、店舗によって加温方法にバラつきがあり、味を損ねているとの指摘もある。

 そんな「迷走」を象徴するのが、「鰻の成瀬」をわずか数年で急成長させた立役者として、メディアに引っ張りだこだったフランチャイズビジネスインキュベーション(FBI)の山本昌弘社長の退場だ。保有する52.5%の株を全て手放したのだ。

 これを取得し、発行済株式の58%を握ったのが、東証スタンダードに上場しているAIフュージョンキャピタルグループ。AI・DXによる業務効率化やSNSマーケティングによる集客最大化などに強みを持つ同社は、こんな方針を打ち出している。

「フランチャイズ×AI・DX による高成長モデルの確立」「生活者向けサービス領域における収益基盤の強化」を推進し、中長期的な売り上げ高・利益の持続的成長を実現してまいります(AIフュージョンキャピタルグループのプレスリリースより

 では、具体的にどうやって「鰻の成瀬」をよみがえらせていくのか予想してみたい。まず「生活者向けの収益基盤強化」という方向性で可能性が高いのは、「うなぎ居酒屋」である。

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