人間は「取締役」、AIが「CEO」 サム・アルトマンがAGI論争を終了させてまで語りたかった「ASI」の未来図(4/4 ページ)
「AGI」(汎用人工知能)は、気付かないうちに到達してしまった――だから次はASI(超知能)の定義を決めよう」。米OpenAIのサム・アルトマンCEOは、AGIをめぐる終わりのない論争に決着をつけるかのような提案をしている。宣言を急ぐ裏には、Microsoftとの間に抱える“巨額契約の時限爆弾”があった。AIがCEOになる」衝撃の未来図とは?
人間は「取締役」、AIが「CEO」へ アルトマンが語った「ASI」の定義
その思惑が彼の真意なのかどうかは別にして、アルトマン氏は彼の考えるASIの定義をポッドキャストの中で明らかにした。私が知る限り、同氏がASIの定義を口にしたのは初めてだ。
その定義とは「アメリカ合衆国大統領や、巨大企業のCEO、あるいは非常に大きな科学研究所の運営を、人間よりもうまくこなせるAIのこと」というものだ。
無数のAIエージェントのみで構成された組織のトップとして「組織を運営するのもAI」という構図だ。人間は直接管理できる部下の数が限定的なので、どうしても組織はピラミッド構造になってしまう。しかしAIカンパニーのAIのCEOは、社員が何人いたとしても直接管理が可能だ。CEOの思うように組織を運営できるようになる。
一方でアルトマン氏によると、人間はその組織の取締役として、取締役会を通じてAIのCEOに指示を与える立場になるという。指示通りにAIのCEOが動かなければ、AIのCEOを解任することもできる。実際に働くのはAIではあるものの、その方向性を決めるのは人間になるという。
こういう組織運営が可能なAIのことをASIと呼ぼう、というのがアルトマン氏の提案だ。逆に言えば、こうしたことが可能なように、OpenAIはAIの開発を進めているということになる。アルトマン氏が示したAIの未来図。なかなか興味深いものがある。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「AGIは実現したということで、次に行こう」(2025年12月27日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
著者プロフィール
湯川鶴章
AIスタートアップのエクサウィザーズ AI新聞編集長。米カリフォルニア州立大学サンフランシスコ校経済学部卒業。サンフランシスコの地元紙記者を経て、時事通信社米国法人に入社。シリコンバレーの黎明期から米国のハイテク産業を中心に取材を続ける。通算20年間の米国生活を終え2000年5月に帰国。時事通信編集委員を経て2010年独立。17年12月から現職。主な著書に『人工知能、ロボット、人の心。』(15年)、『次世代マーケティングプラットフォーム』(07年)、『ネットは新聞を殺すのか』(03年)などがある。
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