インタビュー
販売員の「個人ノルマなし」──ファンケルが進める接客教育DX 「売らない勇気」をAIは教えられるか(2/2 ページ)
ファンケルは、顧客対応を学ぶロールプレイングにAIを導入し、新卒研修にも活用を広げる。接客スキルだけでなく、企業の価値観までAIは教えられるのか。現場で起きている変化と、その効果に迫る。
研修回数は6倍増も 現場で起きた変化
同社は2025年10月にAIロープレの導入に着手し、2026年1月にはプログラムの実装を完了したという。
背景には、これまでにロープレで使用したシナリオや評価基準を整備していたことがある。既存の資料を取り込み、AIに落とし込むことで、スムーズな立ち上げが可能となった。
AIロープレで実際に顧客対応を学んでいる新入社員からは「繰り返し練習できる」「人に気を遣わず取り組める」といった声が上がり、ゲーム感覚で点数向上を目指す動きも見られる。
コンタクトセンターの研修では、これまで2回程度だったロープレ回数が、AIの活用により6倍の12回にまで増加したケースもある。回数を重ねることでスキルの底上げが進んでおり、実際に応対品質の向上が見られているという。
もっとも、AIロープレの実施回数や結果は人事評価には反映されない。あくまで目的は「顧客に寄り添うこと」であり、ノルマ化することで本来の目的が損なわれることを避けている。
将来的には、営業など他業務での活用の可能性も模索している。
また、同社では社員の教育だけでなくさまざまな業務でAI活用を進めている。3月には独自のAI技術で角層細胞を解析することで、肌の状態やリスクを予測するカウンセリングサービスの提供を直営店舗で開始した。
AIは、同社が掲げる「顧客に寄り添う」価値観を再現・強化する基盤になりつつある。
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