「終わった」と言われたサンマルク V字回復に導いた戦略とは:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/6 ページ)
サンマルクHDが、業態を拡大しながら業績を伸ばしている。社長の藤川氏は、なぜこのような戦略を採用したのか?
パスタ業界にも注目
藤川社長が目を付けたのは、牛カツ市場だけではない。商業施設においてパスタは安定した需要がある一方、入居するチェーンは固定化され、新規参入が進んでいない点に着目した。そこで開発したのが、「鎌倉パスタ」の新業態「おだしもん」である。
2023年7月、東京都足立区の「北千住マルイ」に1号店を出店。店内で仕込むだしをベースに、「かけだし」「つけだし」といった新しいスタイルのメニューを展開している。いわば、和のスープパスタの進化形だ。
さらに特徴的なのが、和テイストのスイーツの強化だ。「宇治抹茶モンブラン」や「ほうじ茶ティラミス仕立て」などを取りそろえ、カフェ利用も想定した設計となっている。これにより、従来弱点だったランチとディナーの間の客足が落ちる時間帯でも集客が進み、来店動機の拡張に成功している。
それに加えて、おだしもんでは従来のパン食べ放題に代わり、店内で手作りした豆腐を食べ放題で提供している。ヘルシー志向を打ち出すとともに、できたての豆腐を好きなだけ楽しめる点が、他店との差別化要素となっている。
「サンマルクは終わった」を払拭した後は……
このように、サンマルクHDは藤川氏の下で大きくかじを切った。コーヒー中心から脱却してお茶需要を取り込み、高成長が見込めるブランドの取得によるインバウンド・海外展開を強化し、レストランのカフェ需要を創出するなど、多面的な施策で顧客の来店機会を広げている。
こうした戦略が実を結び、「サンマルクは終わった」という評価は払拭されつつある。サンマルクHDは今、再び成長軌道に乗り始めた。グローバル展開も視野に入れつつ、どのように業績を伸ばしていくのか。今後の藤川氏のかじ取りから、しばらく目が離せなそうだ。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。
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