「金麦」「本麒麟」「クリアアサヒ」が第3のビール→ビールに「昇格」へ……物価高でも各社が「第3のビール」を切り捨て始めたワケ(2/3 ページ)
サントリー「金麦」を筆頭に、これまで格安だった第3のビールを「ビール」へと昇格させる動きが進んでいる。背景には何があるのか。
メーカーと国税が裁判も……発泡酒・第3のビールの歴史とは?
発泡酒は1994年にサントリーが発売した「ホップス」をきっかけに各社が参入したとされる。当時は酒税法上、麦芽比率が67%以上のものをビールと定義していたが、ホップスはこれを65%に抑え、税の回避を図った。当時、350ml缶のビールは220円台で販売されていたが、その内約78円を酒税が占めていた。一方で発泡酒の場合は約54円であり、サントリーはホップスの350ml缶の希望小売価格をビールより安い180円に設定できた。
当時はバブル崩壊後の不景気が世を覆っており、他社もホップス以降、発泡酒市場に参入した。発泡酒の出荷量は節約志向の高まりで1998年にはビール系飲料の15%を占めるようになる。
同様に第3のビールも酒税を安く抑える目的で開発された。サッポロビールが2003年に発売した「ドラフトワン」が第3のビールの火付け役とされる。サッポロは主要原料として大麦ではなくエンドウ豆などを採用。350ml缶の税額は24円であり、発泡酒よりも安い120円台での販売を実現した。
以降、ビール離れが進む中、苦味が少ないなど味の面でも第3のビールは消費者に選ばれるようになっていく。なお国はこれに対抗する形で、2006年以降、第3のビールの増税を段階的に行ってきた。
複雑な税制は国と飲料メーカーの争いに発展した。
サッポロビールは2013年に「極ゼロ」を第3のビールとして発売した。
だが2014年に国税当局から製法の照会を受け、発泡酒として再発売。サッポロは延滞税が膨らむのを避けるため一度は納税したが、極ゼロが第3のビールに当たるとして2017年に国を相手に提訴し、酒税約115億円の返還を求めた。高裁まで争われたのち、最高裁がサッポロ側の上告を受理せず、発泡酒として確定した。
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