“やる気の押し付け”が新人を壊す? 五月病が生まれる「構造的な理由」:スピン経済の歩き方(2/6 ページ)
約5人に1人は経験したことがあるという「五月病」。管理職はどう対処していけばよいのか。五月病という言葉が生まれたとされる1960年代後半を振り返ってみると……。
五月病を未然に防ぐには
叱咤(しった)激励が行き過ぎるとハラスメントになり、優しいねぎらいの言葉ばかりだと「ホワイトすぎるので辞めます」と退職を突き付けられるこの難しい時代。新人や部下が五月病になるのを未然に防ぐには、何をしたらいいのか。
よく言われるのは「コミュニケーションを密に取って、SOSを発していたらすぐに対応する」というものだが、正直、あまりにも漠然として参考にならない。具体的に何をすればいいのかは、五月病の成り立ちを振り返ることで見えてくる。
諸説あるが、日本で五月病という言葉が広まったのは1960年代後半だといわれる。世界的に「学生運動や左翼運動」が盛り上がった時期だ。
フランス・パリの学生を中心に、大規模な抗議運動「五月革命」が起きた。米国ではコロンビア大学の学生が、ベトナム戦争に反対して大学を占拠。日本でも「東大紛争」が激化していた。
これほど若者たちが政治や革命に熱中していた時期に、その対極ともいえる「心の不調」が生まれたことに違和感を覚える人も多いだろう。しかし、実はここにこそ、五月病の本質がある。
なぜ学生運動が華やかな頃に五月病が注目されたかというと、そこには「無気力学生」と呼ばれる若者の存在がある。
この時代の大学生がみんなヘルメットをかぶって、運動に身を投じていたのかといえば、もちろんそうではない。熱狂を横目に見ながら「また休講か。麻雀でも行くか」などと、政治や革命に無関心な学生も大勢いた。彼らは「無気力学生」などとばかにされた。
背景には「厳しい受験戦争」があるといわれている。朝から晩まで勉強、勉強、勉強で、ようやく念願の大学に入ることができたが、そこで燃え尽きてしまって、大学入学後まもない5月ごろには何もやる気がなくなってしまうというのだ。
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