「空港ラウンジ混みすぎ問題」も影響か ANA「ステータス制度改悪」に“マイル修行僧”の批判が殺到した背景(3/3 ページ)
ANAがステータス制度の改定を発表した。これまでより“厳格化”するような内容となっており、いわゆる“マイル修行僧”たちからは批判の声があがっている。
不調の国内線を補う狙いか
2026年3月期におけるANAの業績は、売上高2兆5392億円、営業利益2174億円と増収増益で、いずれも過去最高を更新した。とはいえ、具体的な数値を公表していないものの国内線は厳しい状況にあるとみられる。
国土交通省が2025年5月に公表した「国内航空を巡る現状」によると、ANAを含む主要6社の国内線事業は不調だ。2018年度の営業損益を100とした場合、2023年度は7.3であり、2024年度に至ってはマイナス15.7となっている。旅客数はコロナ禍以前の水準まで回復したものの、比較的高単価の「出張・業務」利用が減少し、この間に燃料費や人件費の上昇も進んだことが背景にある。
ANAは現中期経営計画で「国内旅客事業の収益性改善」を課題として挙げている上、2027年3月期は営業利益の31%減を見込んでいる。SFCの制度変更はラウンジの混雑解消やコスト削減が目的だと推測できる。
ステータス性を見直すべきタイミング
JALのポイントプログラムも、以前は年間に50回搭乗することで上級資格「JALグローバルクラブ会員」になれる仕様だったが、2024年に「JAL Life Status プログラム」を導入した。ポイントを生涯積み立てられる制度だが、国内線への搭乗で上級資格を得るには300回乗る必要があり、ハードルを引き上げた形だ。
しかしこの際は既存会員のステータスを維持したため、ANAのように利用者の反発は起きなかった。とはいえ時間をかけてステータスの獲得を狙う人が増える可能性もあり、将来的にJALもANAのような金額による足切りを実施するかもしれない。
ラウンジ利用が目的の場合、時間やコストを考えればビジネスクラスなどの上級席を利用した方が合理的だ。だが、過去記事『「わずか50席」離島に住む人が使うプロペラ機に“マイル修行僧”殺到で大迷惑 JAL多良間島騒動が起きてしまった根本原因』で解説した通り、マイル修行僧はステータス自体を求めているため、単純な損得勘定で割り切れない行動をとる。
業態問わず、永続的なステータス制は安易に導入すべきではない。ANAのように後から改変した場合、既存顧客の反発を招くだろう。マイル修行やポイ活に勤しむ消費者が増えている昨今、ステータス制は期間を限定する必要がある。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
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