なぜ「奄美大島」に高級宿が集まるのか 現地で見えた“観光開発”の熱量(4/5 ページ)
国内最大級のシェア別荘サービス「SANU 2nd Home(サヌ セカンドホーム、以下サヌ)」を運営するSANUが、新拠点「奄美大島1st」を5月1日に開業した。同島では近年、高級ヴィラの開業が活発化し、人気を集めているという。現地の観光事業者を取材したところ……。
集落文化の継承を目指す「伝泊」
奄美大島で宿泊施設「伝泊」を営む奄美イノベーションの山下保博社長にも話を聞いた。奄美空港から近い笠利町で生まれ育った山下氏は、1991年に建築設計事務所「アトリエ・天工人(テクト)」(東京都渋谷区)を設立し、建築家として国内外で高い評価を得ている。
2015年頃から奄美大島での設計も手掛けるようになり、担当したリゾートホテル「Miru Amami」(ミルアマミ、旧ネストアット奄美ビーチヴィラ)が2017年に誕生。2016年には奄美イノベーションを創業し、宿泊施設「伝泊」を立ち上げ、観光事業に参入した。奄美大島に約360ある「集落」の文化継承を目的に、古民家の改装からスタートした。
「伝泊を立ち上げたきっかけは、2009年にドイツの総合医療福祉施設『ベーテル』を訪れたことです。同施設がある街は、人口約2万人のうち40%が障がい者です。街全体で障がいがある人を当たり前にサポートする姿を目の当たりにして衝撃を受け、『まちづくり』を模索し始めました」(山下氏)
地域と密接に連携する伝泊は、奄美大島の“日常”を観光コンテンツ化することで、集落が活性化する仕組みを作った。現地の伝統文化を体験できる約30のプログラムを用意しており、泥染め体験や祭りの参加、地元の人に教わる島料理作りなどがある。
さらに、宿泊施設に限らず、観光客と地元民が交流できる広場や食堂、高齢者向けの介護施設、物産・ギャラリーなども幅広く展開。従業員の7割以上を島民とするルールを設け、地域に雇用機会も生み出している。
現在、伝泊の宿泊施設は奄美群島で36棟43室まで拡大。2019年には、高級リゾートの「伝泊 The Beachfront MIJORA(でんぱく ザ・ビーチフロント ミジョラ)」も誕生した。壁一面のガラス窓を採用し、海に溶け込むような空間を演出している。開業後、すぐに人気施設となり、増設を重ねて20棟まで増えた。海辺や夕日を眺められるレストラン「2 waters(トゥーウォーターズ)」も開業した。
「コロナ禍はかなり苦労しましたが、2025年度の稼働室数は2022年度比で2.2倍、売上高は同3倍に伸長しています。ミジョラの平均稼働率は約70%で、伝泊最大の稼ぎ頭です。春先から夏にかけては、全ての棟が埋まっています」(山下氏)
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