就職氷河期の「埋もれた才能」を狙え 人手不足を打破する“正社員の特殊性”からの脱却:働き方の見取り図(2/3 ページ)
「就職氷河期世代」と聞くと、多くの人は1990年代後半から2000年代前半の厳しい就職環境を思い浮かべるだろう。政府はいまも支援策を続けているが、氷河期世代だけを対象にした支援は、本当に問題解決につながっているのか。その裏で起きている弊害と、本質的な対策を考える。
なぜ“第2、第3の氷河期世代”が生まれるのか
次に、就職氷河期という世代の括りに焦点を当てたことで、他世代との間に新たな格差が生じかねない弊害があります。
政府の就職氷河期支援プログラムは「就労・処遇改善に向けた支援」「社会参加に向けた段階的支援」「高齢期を見据えた支援」という3つが柱です。しかし、同様の課題を抱える人は、全ての世代に存在しています。
氷河期世代を見捨てない姿勢を示す必要はあるとしても、氷河期世代以外を見捨ててもよいわけではありません。
キャリアの初期段階でつまずくと、生涯にわたって不利益を被りやすいという日本の雇用システムが抱える欠陥は全ての人に影響を与え、個人の力では回避しきれません。支援対象を就職氷河期世代に絞るのは不公平感を助長します。
実際のプログラム名称には就職氷河期世代等と「等」の字が入っていますが、全世代を対象とする意図があるのであれば、就職氷河期世代という言葉を冠に付けることで、支援の趣旨が分かりづらく、他世代の人たちは、対象外だと誤解しかねません。
3つ目の弊害は、過去の就職氷河期世代にばかり注目し、新たな就職氷河期世代が何度も生まれていることです。
文部科学省の「学校基本調査」を基に、四年制大学の卒業者における就職者の割合を算出してみました。
就職氷河期の初年である1993年の就職者割合は76.2%でした。それに対し、2005年の大学卒業者の就職者割合は59.7%で、2014年まで60%台が続きます。2015年には70%台まで回復したものの、2017年までは1993年の76.2%を下回る状況が続きました。
さらに、2021〜2023年にかけても76.2%を下回っています。この時期はコロナ禍での採用減が影響していると考えられます。
2005年以降で1993年の水準を超えたのは、2018〜2020年と2024〜2025年の5年だけ。新たな就職氷河期が生まれ続けているのです。
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