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就職氷河期の「埋もれた才能」を狙え 人手不足を打破する“正社員の特殊性”からの脱却働き方の見取り図(1/3 ページ)

「就職氷河期世代」と聞くと、多くの人は1990年代後半から2000年代前半の厳しい就職環境を思い浮かべるだろう。政府はいまも支援策を続けているが、氷河期世代だけを対象にした支援は、本当に問題解決につながっているのか。その裏で起きている弊害と、本質的な対策を考える。

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 厳しい雇用環境の中で社会に出たことで、不遇な状況に置かれている世代と言えば、多くの人が「就職氷河期」を思い浮かべるのではないでしょうか。インパクトのある名称から、氷漬けになった寒々しい社会風景のイメージを確立しています。

 現在も、政府は就職氷河期世代の支援策に取り組んでいますが、該当する世代は1993年から2004年の間に新卒で社会に出た人たちです。すでに20年以上もの歳月が経っています。

 また、就職氷河期世代が初めて社会に出た時の雇用環境が厳しく、希望通りに就職できなかった人が多いのは事実ですが、他世代にも同様の困難を経験した人はいます。

 就職氷河期世代に限定した支援は、本当に課題解決につながっているのでしょうか。検証してみると、弊害が見えてきました。

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就職氷河期世代への支援は、本当に課題解決につながっているのか(提供:ゲッティイメージズ)

著者プロフィール:川上敬太郎(かわかみ・けいたろう)

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ワークスタイル研究家/しゅふJOB総研 研究顧問/4児の父・兼業主夫

愛知大学文学部卒業。雇用労働分野に20年以上携わり、人材サービス企業、業界専門誌『月刊人材ビジネス』他で事業責任者・経営企画・人事・広報部門等の役員・管理職を歴任。

所長として立ち上げた調査機関『しゅふJOB総研』では、仕事と家庭の両立を希望する主婦・主夫層を中心にのべ5万人以上の声をレポート。

NHK「あさイチ」「クローズアップ現代」他メディア出演多数。


「氷河期世代支援」に感じる、ある違和感の正体

 政府は4月10日、第3回「就職氷河期世代等支援に関する関係閣僚会議」を開催し、新たな就職氷河期世代等支援プログラムを決定しました。

 担当大臣は「就職氷河期世代の皆さまの今とこれからの不安を、希望に変えられるよう支援に取り組んでいく」とコメントしています。

 しかし、就職氷河期世代だけをクローズアップして支援しても、的外れであることは、以前書いた記事(「『超・氷河期世代』の存在を知っていますか? 支援策の3つの間違い」)で指摘した通りです。

 就職氷河期の問題が認識されて間もないタイミングでの暫定的な措置であれば、特定の世代に限定した施策でも、マイナスは少なかったでしょう。

 ところが、いつまでも「就職氷河期世代」の名を掲げたまま、恒常的に支援を続けるとなると話は別です。多くの弊害があります。

氷河期世代「限定」の支援が生む3つの弊害

 ここでは、3つの弊害について説明します。

 まずは、根本的な問題の解決がおろそかになる弊害です。社会の入口で起きた問題を取り返そうとしても、後付けでできることには限界があります。過去の穴埋めにばかり注力しても、根底にある課題は解決しないのです。

 社会に出たばかりのスタート段階で人生が決められてしまうかのような硬直性は、就職氷河期から20年以上が経過した現在においても解消されたとは言えません。

 民間の転職サービスの多様化などにより、雇用の流動性や柔軟性は高まりつつあります。一方で、年功賃金や終身雇用といった慣習が職場から完全に消え去ったわけではなく、初期キャリアの段階で将来が大きく左右される風潮はいまも残っています。

 雇用形態間の行き来も、依然として硬直的です。正社員から非正規社員への移行は比較的容易でも、非正規社員から正社員になるのは依然として容易ではありません。

 これらの構造的な問題が解決していないにもかかわらず、就職氷河期世代に限定した後付けの支援にばかり注力しているのが現状です。まるで、他世代には同様の問題が存在しないかのような扱いになっています。構造の問題を解決するには、雇用システムの抜本的な変革に取り組む必要があります。

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