AIを導入しても、なぜ格差は広がるのか 7割の企業が感じる「使える人」との差(3/5 ページ)
AI活用を人事評価に反映する企業が増える一方、7割超の企業が「使える人」と「使えない人」の格差を実感している。制度を整えても埋まらない“AI二極化”の実態と、先進企業の取り組みを追った。
賞金1000万円のコンテストと、若手が役員を教えるAI塾
二極化にどう向き合うかが課題となる中、成果を上げている企業もある。ソフトバンクグループは2023年5月から社内で「生成AI活用コンテスト」を開催している。社員が生成AIを活用した新規事業や業務改善のアイデアを提案し、優勝者には1000万円の賞金が授与される。これまでに計10回開催され、累計の提案件数は26万件を超えた。
コンテストから生まれたアイデアが事業化されるなど、提案が実行に移される道も用意されている。さらに、約2万人の社員が1人100個のAIエージェント(特定の業務を自動処理するAIプログラム)を作成するプロジェクトにも取り組み、作成総数は250万個に達した。
金銭的な報酬とキャリアの可能性を同時に示すことで、社員の主体性を引き出す設計といえる。
博報堂DYホールディングスは、二極化の主要因である「年代の差」に向き合った。2025年に導入した「AIメンタリング」制度では、AIに精通した若手社員が経営層と1対1のペアを組み、定期的にトレーニングを行う。
メンターに選ばれるのはエンジニアではなく、営業やマーケターなど現場の社員だ。業務に近い立場の若手がサポートすることで、経営層が実務に直結するスキルを習得しやすくなる。
同社の調査によると、50代以上のAI活用率は10%程度にとどまっていた。試験導入の結果、参加した経営層の月間AI利用回数は約3倍に増加。経営陣が率先して参加したことが他の役員への波及を促した。若手がAIスキルを提供し、経営層が経験知を返す「相互補完型」の仕組みが機能している。
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