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開業初年度は1億円赤字 奄美のホテルが“癒し路線”で再生したワケ(3/5 ページ)

「健康」や「癒し」を目的に旅をする「ウェルネスツーリズム」が盛り上がっている。2015年に開業した奄美大島のホテル「THE SCENE(ザ・シーン)」は、ウェルネス特化に路線変更したことで大赤字から逆転、人気の取れない宿になった。その戦略を取材したところ……。

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「方向転換」で黒字化、何を変えた?

 「当社は、国内外に約300店舗ある『ドクターストレッチ』の運営をはじめ、健康産業を主軸にしています。そうした企業がリゾートホテルを手掛けるのは、ちょっとおかしい。加えて、この場所には人を浄化するようなチカラがある。それならば、思い切って“ウェルネスホテル”として打ち出そうと考えました」


ノビテルのホテルトラベル事業部執行役員、兼ザ・シーン支配人の小林良輔氏(nobitel提供、以下同)

 当時は「ウェルネスツーリズム」という言葉が浸透しておらず、「リトリート施設」としてアプローチ。「非日常の空間で心身をリフレッシュし、腸内環境など体の内側を整えるための旅」と打ち出し、ターゲットも都心でバリバリ働く20代後半〜60代の女性に変更。宿泊料金の値上げも実施し、1泊当たりの客単価を1万4000円引き上げた(食事込み)。すると、メディア取材が急増した。

 「口コミ評価が下がる中、メディアでたくさん取り上げていただき、WebサイトのPVが上がっていきました。広告費を削減したのにもかかわらず、PVは伸び、健康意識の高い男女ペアのお客さまが、次々と訪れるようになったのです」

 リトリート施設というアプローチがターゲットの女性に届き、彼女たちがパートナーを連れて訪れるようになったという。


ウェルネス路線がメディアに注目された

 コンセプトの変更に伴い、サービス面も一部変更した。最も分かりやすく変えたのは「接客スタイル」だった。

 「以前は高級リゾートらしく、きっちりした接客をしていたのですが、フレンドリーな接客スタイルにしました。ヨガやピラティスのスタジオで受けるような。そうしたら、以前は多かったクレームがゼロになりました。きっちりした接客だと完璧さを求められますが、フレンドリーに変えたら『人間らしさがあって、1人1人が考えながら働いていていいね』と評価をいただけたのです」

 料理やアクティビティーは、何も変えていない。だが、「伝え方」を変えたことで満足度が上がっていったという。

 「料理は『おいしい』ではなく、『体にやさしい』という表現にしました。料理は全体的に薄味で、以前は低評価だったのですが、『体にやさしい薄味にしています』と伝えると納得していただける。アクティビティーも『豪華クルージング』と訴求していたものを、『自然を通じてクレンズするウェルネス体験』としました」

 こうした取り組みにより、顧客の反応が徐々に変化。「非日常の体験だね」「こういうのをリトリートって言うんだね」と、前向きなコメントをもらえるようになった。結果として、2年目には減価償却費約5000万円を除いたEBITDAベースで黒字化を達成。つまり、5000万円のマイナスをプラスに逆転したわけだ。

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