「クレームがない=いい接客」ではない 斎場スタッフが語った深すぎる接客論:スピン経済の歩き方(1/6 ページ)
「答えのない仕事」といわれる接客業の中でも、他業種と比べて次元の異なる奥深さがあるのが、「斎場スタッフの接客」だ。ベテランの斎場スタッフ2人に「接客の真髄」を聞いた。
スピン経済の歩き方:
日本ではあまり馴染みがないが、海外では政治家や企業が自分に有利な情報操作を行うことを「スピンコントロール」と呼ぶ。企業戦略には実はこの「スピン」という視点が欠かすことができない。
本連載では、私たちが普段何気なく接している経済情報、企業のプロモーション、PRにいったいどのような狙いがあり、緻密な戦略があるのかという「スピン」をひも解いていきたい。
「接客業は奥が深い」とよくいわれる。
愛想よく笑顔を浮かべ、明るく元気にハキハキと、正しい言葉遣いで対応していてもクレームが入ることがある。マニュアル的な対応を押し付けがましく感じたり、鼻につくと受け取ったりする人もいるのだ。
かといって、一歩引いて落ち着いた雰囲気で対応すると、今度は「冷たい」「やる気がない」などと文句が飛んでくる。相手が生身の人間である以上、十人の客がいれば十通りの感情があり、寄り添い方も十通り必要になる。これさえやっておけば「正解」というものがないのだ。
そんな「答えのない仕事」の中でも、他業種と比べて次元の異なる奥深さがあるのが、「斎場スタッフの接客」だろう。
大切な人を失って、悲しみに暮れる喪主や家族をサポートするという点では、葬儀業者と重なる部分もあるが、斎場スタッフが特殊なのは、遺体を火葬し、遺骨を遺族の前に運び、骨壺に納めるという一連の役割を担う点だ。いわゆる「お骨上げ」「収骨の儀」を執り行う点だ。
大切な人を亡くした場面を想像していただきたい。つい先ほどまで生前の姿だった人が、骨という「物質」に変わり、それが箸でつままれて、小さな壺に納められていく光景を見たら、心が揺さぶられてしまうはずだ。そんな行き場のない「負の感情」を、目の前の斎場スタッフにぶつけてしまう人もいるだろう。
では、そんな過酷な「感情労働」の現場で、斎場スタッフたちはどうやって、悲しみに包まれた人々に寄り添っているのか。火葬によって大切な人の「死」を改めて実感し、ショックを受けている人たちに、少しでも穏やかな気持ちで斎場を後にしてもらうために、どんなことを心がけているのか。
それを知ることは、外食やホテルなど「感情労働」を生業(なりわい)としている人たちはもちろん、顧客のクレーム対応をしなくてはいけないビジネスパーソンにとっても大きな気付きにつながるはずだ。そこで今回は、東京博善(東京都港区)のベテラン斎場スタッフ2人にインタビューした。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
火葬炉の中に入って分かった、火葬場経営を苦しめる「見えないコスト」の正体
東京都内で6つの斎場(火葬場)を運営する東京博善。その「火葬炉の中」に入って分かった、経営に最も打撃を与えている「見えないコスト」の正体とは――。
富士そば「外国人観光客お断り」は悪なのか 立ち食いそば騒動が問いかけた現実
庶民の味方である立ち食いそばに、外国人観光客が押し寄せる現象が起きている。外国人観光客お断りを示す店舗もあるが、「そば」が本当の意味でも世界に愛される日本食になるためにできることとは。
丸亀製麺は“讃岐うどん”の看板を下ろしたほうがいい、これだけの理由
またまた炎上した。丸亀製麺が讃岐うどんの本場・丸亀市と全く関係がないことである。このネタは何度も繰り返しているが、運営元のトリドールホールディングスはどのように考えているのだろうか。筆者の窪田氏は「讃岐うどんの看板を下ろしたほうがいい」という。なぜなら……。
なぜ大阪と浅草でニュースが“逆”になるのか 中国人観光客報道の舞台裏
中国政府による「日本観光自粛」の影響が、報道するメディアによって真逆の内容になっている。なぜこのような事態が起きているのかというと……。
