大人の泥団子づくりに1000人のキャンセル待ち ルクア大阪の体験に人が殺到する理由(2/3 ページ)
ルクア大阪が開催した「泥団子づくり」に1000人のキャンセル待ちが発生した。その他にも「ほめるBar」や「お坊さん喫茶」などさまざまなイベントを打ち出し、来館客の心をつかんでいる。ヒット企画はどのようにして作られているのか。イベントを企画するトキメキ事業グループに取材した。
「ほめるBar」と「お坊さん喫茶」 悩みを起点に体験をつくる
目にとまった1つのコメントから生まれたのが、2019年に開催した「ほめるBar」だ。ほめることに長けている婚活カウンセラーなどが「ほめる人」として、イベント参加者と会話し、その人の魅力を伝える。
「他人をほめる」という趣旨のイベントの開催は社内に前例がなく、当時は「販売促進といえるのか」「売り上げにどうつながるのか」といった声も上がった。しかし、上司が「まずは小さく、実験的にやってみよう」と後押ししてくれたことで、企画は動き出した。結果的に、予約は完売。4日間で約350人が参加した。
ルクア大阪の主要顧客層である20〜30代の女性の参加を想定していたが、ふたを開けてみると、意外な層の参加もみられた。例えば、単身赴任で東京から大阪に来ている50代の男性は、家族からの電話が減った寂しさを口にし、家族を支えるため1人で頑張る自分をほめてほしいと話した。スーツに身を包んだ会社役員のような50代の男性は「部下のほめ方が知りたい」と参加した。
販売促進の世界では、年代や趣味嗜好(しこう)からターゲット層を絞り込むのが一般的だ。一方、「ほめるBar」の発想の起点にあったのは、「ほめられたい」という感情だった。20〜30代の女性の声から生まれた企画だったが、その思い自体は世代や性別を問わず共通していた。結果として幅広い層の共感を集めた。
こうした声を起点に、大垣氏たちは「悩みと悩みを掛け合わせる」という発想でも企画を生み出していった。その一例が「お坊さん喫茶」だ。
きっかけは、Instagramに寄せられた「弱音や愚痴を吐きたいが、誰かに言うとそれ自体がリスクになる」というコメントだった。誰なら否定せずに受け止めてくれるのか――そう考える中で着目したのが、お坊さんだった。
企画の相談をする中で、お坊さん側も「参拝者に話しかけようとしても、さっと離れていかれてしまい、なかなか交流できない」という悩みを抱えていたことが分かった。両者の悩みを結び付けることで、双方にとって意味のある場になるのではないか。そうした発想から、お坊さんにモヤモヤを話すイベント「お坊さん喫茶」が誕生した。
「ほめるBar」や「お坊さん喫茶」は、「もしこんなショップがあったら」を実体験として届ける「妄想ショップ」というプロジェクトから生まれた企画だ。
トキメキ事業グループでは、これに加え、生産性や効率を求められる社会の中で、意味のない時間をあえて楽しむ「ムダ満喫CLUB」など、複数のプロジェクトを並行して展開している。冒頭で紹介した、泥団子イベントも「ムダ満喫CLUB」の企画の1つだ。
ムダ満喫CLUBの発案者でもある、トキメキ事業グループ 主任の三上尭氏は、こうした企画の役割を次のように話す。
「商業施設は、どうしても売り上げやテナント構成といった視点で語られがちです。ただ、それだけでは長く愛される存在にはなれない。ルクア大阪が、どんな価値観を大切にし、どんな人に寄り添いたいのか。それをイベントなどの体験を通じて伝えるのが、僕たちの役割だと思っています」
営業部から異動してきた、同グループ 主任の北出敦子氏も続ける。
「営業部では、テナントさんと売り上げをどう作るかを一緒に考えていました。この部署に来てからは、商品やサービスを購入するお客さまの中にある気持ちや感情に向き合うことが、テナントさんにとっても商業施設にとっても大事なんだと実感しています」
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