「客の金庫から現金を窃盗」 前代未聞の事故が起きても、なぜ三菱UFJは「貸金庫業」を頑なに続けるのか(2/4 ページ)
顧客の貸金庫から十数億円を行員が盗むという大事件が起きた三菱UFJ銀行。今や時代に取り残されつつあるビジネスモデルということもあり、地銀では撤退が相次ぐ。しかし当の三菱UFJは、貸金庫業を今後も維持するという。いったいなぜなのか。
貸金庫が「不正の温床」になってしまった背景
バブル経済崩壊後の1990年代後半、不良債権処理に追われた銀行は収益重視の姿勢を強めていきます。中でも貸金庫ビジネスは、契約するだけで収益が稼げるスペース貸業務として取り組み姿勢が一転しました。広く一般個人顧客に告知することで、空きが多かった貸金庫のセールスを大々的に展開したのです。
審査基準も緩くなり、口座取引さえあれば誰でも契約ができるレベルに変更されました。その意味では、気軽に契約できる一般顧客向けのサービスに移行したのがこの時期であり、特別感がなくなったと言えます。
そもそも銀行の主要業務は「預金」「貸出」「為替」が三大業務と呼ばれ、貸金庫業務はあくまで付随業務に位置付けられます。多くの銀行の支店では融資課などの奥まった場所に出し入れの受付窓口があって(全自動型を除く)、ひっそりと取り扱われている印象が強いです。
専門に担当する行員は存在せず、融資課などの中間管理職と担当者が主要業務との兼務で関わっているというのが実情です。担当の役職者以外、支店長以下の他の管理者が大きく関わることもなく、店内でも注目されていない。つまり、業務として目立たない存在というのが不祥事の温床になったと言えそうです。
効率的な組織管理が徹底されている銀行をはじめとしたわが国の大企業では、主要業務以外は日陰的な業務になりがちです。そのため、特定のスタッフに任せきりになり、属人化が進みやすい傾向にあります。最近の事例では、KDDIの子会社で約7年にわたって売り上げの99%以上、金額にして2400億円以上が架空取引であった、という驚くべき不祥事がありました。
これも当該取引が広告代理業務というKDDIにとって主力事業ではない領域で起きた事件です。業務自体が特定の2人の社員に任せきりで属人化していたことが、不祥事の発覚を遅らせてしまいました。
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