米OpenAI、ChatGPT広告を「会話型」へ クリック不要の購買体験が始まる
米OpenAIは広告技術(アドテク)企業の米Smartly(スマートリー)と提携し、ChatGPT内に「会話型広告」を導入する計画を本格化した。これは単にユーザーの問いかけに対して静的な広告を表示するものではなく、広告枠そのものが対話に応答する「ミニチャットボット」として機能する新しいフォーマットだ。
米OpenAIは広告技術(アドテク)企業の米Smartly(スマートリー)と提携し、ChatGPT内に「会話型広告」を導入する計画を本格化した。
これは単にユーザーの問いかけに対して静的な広告を表示するものではなく、広告枠そのものが対話に応答する「ミニチャットボット」として機能する新しいフォーマットだ。
「対話する広告」へ OpenAIが描く次世代フォーマット
OpenAIがChatGPTへの広告導入を開始したのは2月だ。米国の無料ユーザーを対象とした試験展開では、開始からわずか6週間で年換算1億ドルを超える収益を記録。すでに600社以上の広告主が参加する規模に急成長している。
今回の提携により、Smartlyはクリエイティブ・アドテクパートナーの第1号として、ユーザーの入力に応じて内容を動的に変化させる広告体験の構築を担うことになる。
通常のSNS広告に対し販売効果は5倍
Smartlyのローラ・デスモンドCEOは、会話型広告の圧倒的な可能性を強調している。先行事例として挙げられた英小売大手Bootsのキャンペーンでは、チャット形式でギフト提案を行う広告が、従来のSNS広告と比較して約5倍の販売効果を記録した。
ユーザーが広告に対して「対話を通じてフォローアップができ、何度でも問い直せる」という体験は、広告のパーソナライズの概念を根本から変える可能性を秘めている。
GoogleやMetaが踏み込めていない「ChatGPT独自の強み」とは?
OpenAIはこの野心的な新事業の裏付けとして、極めて強気な価格設定と高いパフォーマンスを提示している。
具体的には、1000回表示あたりの広告単価(CPM)を約60ドルと、業界内でも極めて高い水準に設定した。その根拠となるのが驚異的な収益性だ。
仏アドテク大手、Criteoの調査によれば、大規模言語モデル経由でサイトを訪れたユーザーの購買転換率は、他チャネルと比較して1.5倍に達している。現時点では最低出稿額20万ドルという制限が設けられているものの、中小企業でも参入可能なセルフサーブ型ツールの公開が控えている。
なお、配信対象は18歳以上の無料版ユーザーに限定しており、有料版ユーザーや未成年は除外される方針だ。
Meta出身者が主導する布陣
急ピッチで整備される広告エコシステムを支えるのは、強力な布陣だ。
OpenAIはCriteoをアドテクパートナー第1号として採用しており、すでに約1万7000社の広告主を接続している。また、元Meta副社長のデビッド・デューガン氏を広告部門のトップに据え、COOのブラッド・ライトキャップ氏のもとで体制の強化を急いでいる。
OpenAIはプライバシーと信頼性の担保にも細心の注意を払っている。広告には明示的なラベルが付けられ、AIの回答内容そのものに影響を与えることはないと明言している。また、ユーザーの会話内容が直接広告主に共有されることもない。
業界内では、この会話型広告が「インテント・ドリブン型」(購買意図駆動型)メディアという新カテゴリーを確立できるかに注目が集まっている。先行する米Googleや米MetaもAI広告を大規模展開している。だが、AIアシスタントのインタフェース内部に会話型広告ユニットを直接実装した先例はない。ChatGPTがユーザーの信頼を損なうことなく、広告業界の歴史を塗り替える試みが始まっている。
本記事は、エクサウィザーズが法人向けChatGPT「exaBase 生成AI」の利用者向けに提供しているAI新聞「OpenAI、ChatGPT広告を『会話型』へ Smartlyと提携し新フォーマット開発」(2026年4月3日掲載)を、ITmedia ビジネスオンライン編集部で一部編集の上、転載したものです。
© エクサウィザーズ AI新聞
関連記事
Googleが拒否した軍事AIを成功へ 異端企業「Palantir」が示す、次なるAIの戦場
AIの戦場で圧倒的な存在感を放つのが、米コロラド州デンバーに本社を置くPalantir Technologies(パランティアテクノロジーズ)だ。 AI業界がモデル性能の覇権争いに明け暮れる中、Palantirは全く異なる価値観でAIの時代を切り拓き、業績を急拡大させている。
「学歴は無価値に」 米トップエンジニアが明かす、AI時代に“大化けする人材”の共通点
「履歴書の時代は終わった」──AIの普及によって、企業の採用や人材評価のルールが大きく変わり始めている。
人間は「取締役」、AIが「CEO」 サム・アルトマンがAGI論争を終了させてまで語りたかった「ASI」の未来図
「AGI」(汎用人工知能)は、気付かないうちに到達してしまった――だから次はASI(超知能)の定義を決めよう」。米OpenAIのサム・アルトマンCEOは、AGIをめぐる終わりのない論争に決着をつけるかのような提案をしている。宣言を急ぐ裏には、Microsoftとの間に抱える“巨額契約の時限爆弾”があった。AIがCEOになる」衝撃の未来図とは?
「人間がコードを書く時代は終わった」 “Claude Code”が引き起こす「知能の価格崩壊」
AIがソフトウェアを書く時代が、いよいよ本格的に始まりつつある。「GitHub」の公開コミットの約4%が、米AnthropicのAIエージェント「Claude Code」によって書かれていて、2026年末には20%以上に達するという。この変化は、単なる「AIコーディングツール」の普及ではない。PCの使い方そのものが変わり始めている。
AIによる“社会崩壊”まで残り3年 トップ識者が警告する「地獄のシナリオ」
AIがもたらす生産性の爆発は、最終的には人類に豊かさをもたらす可能性がある。しかしその途中には、社会が崩壊しかねない危険な移行期があるという。
AI競争は「Googleの圧勝」で終わるのか? Gemini 2.5 Proの衝撃
米国のテック系人気ユーチューバーの何人かが、こぞって「AI開発競争はGoogleが勝利した」という見出しの動画をアップしている。これでGoogleの勝利が決定したのかどうか分からないが、少なくともOpenAIの首位独走の時代は終わったのかもしれない。
「KPIは睡眠時間」──オードリー・タンに聞く、日本企業の生産性が上がらない根本原因
生産性の低さが指摘されている日本。人口減少が追い打ちをかける中で、現状を打開するためには、どうしたらいいのか。企業はAIをどのように使いこなしていくべきなのか。オードリー・タンさんに聞いた。
NTT「IOWN構想」に世界が動き出した 成否を握る“ブレークスルー技術”とは?
NTTが提唱する「IOWN構想」では2030年をメドに伝送容量を現在の125倍、遅延を200分の1、電力消費を100分の1に抑える計画だ。飛躍期を迎えたIOWNの歩みと、米南部ダラスで開かれた推進組織のメンバー会議の現地取材から今後の課題を展望する。


