トランプはなぜ「くら寿司USA」を買ったのか 背後にちらつく“エビ・サーモン争奪戦”:スピン経済の歩き方(3/6 ページ)
トランプ米大統領によるくら寿司USA株の大量購入は、何かの間違いや単なる気まぐれではなく、米国の安全保障にかかわる非常に重要な事象ではないだろうか。なぜそう思うかというと……。
世界有数の水産資源国なのに、なぜ?
それがよく分かるのが2025年4月17日、トランプ大統領が署名した「米国産水産物の競争力の回復」という大統領令である。
米国は、広大な漁場を持つ世界有数の水産資源国だ。しかし、スーパーなどに並ぶ水産物の多くは輸入品である。この大統領令の中でも、店頭に並ぶ水産物の約9割が輸入品であり、水産物貿易赤字は200億ドルを超えている、と述べられている。
「輸入依存」の分かりやすい例が、サーモンだ。日本でも有名なアラスカ産の天然サーモンは同国のサーモン漁獲量の95%を占めているが、それが米国人の食卓に上がることは少ない。庶民が食べるサーモンはノルウェー、チリなどから輸入されたものだ。
では、アラスカの天然サーモンはどこへ行ってしまうのかというと、日本や欧州などの先進国、そして中国である。
日本も冷凍野菜を中国産に依存しているように、中国は「世界の食品加工工場」としての地位を確立している。米国の水産品も同様で、アラスカで獲れたサーモンを、人件費などのコストが安い中国へ送り、缶詰やフィレに加工したうえで「逆輸入」している。
この構造はレアアースを巡る状況と似ている。米国は世界供給量の12%のレアアースを採掘できるが、そのうちの約3分の2を精製コストの安い中国へ輸出して、精製されたものを「逆輸入」していた。そんな中国依存を放置していたせいで、気がついたら中国にレアアース精製の世界シェアの約85%を握られ、貿易戦争のカードにされてしまった。
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