ドンキの買収で復活できるか? 関東スーパーの雄「オリンピック」が凋落してしまった根本原因:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/4 ページ)
ドン・キホーテなどを運営するPPIHが4月、「オリンピック」などを展開するOlympicグループを買収すると発表した。近年Olympicグループは経営不振にあえいでいた。関東圏のローカルスーパーだったオリンピックは、なぜ凋落してしまったのか。
「これ」といった強みも生み出せていなかった
2026年4月には食品偽装の件で、農林水産省から是正の指示を受けている。2024年5月から2026年2月まで、一部店舗で販売していた商品の産地や食材名を偽っていたとされる。農林水産省の発表は、PPIHが買収を発表した後だが、もちろん予定されたことであり、業績が良くない上に食品偽装まで明るみに出たら、顧客の信用は地に落ちますます業績が悪化する。そうした懸念も、Olympicグループが売却を決断した一因になった可能性もある。
Olympicグループの業績は右肩下がりを続けており、直近では3年連続で最終赤字となっている。2026年2月期は営業利益と経常利益も赤字だった。オリンピックは店内調理の焼きたてパンなどを早くから導入していたが、今や同様のことを各社がやってきている。実際に店舗を訪問すると食品売場は決して悪くないが、オーケーならピザ、トライアルならかつ重、ロピアなら肉といった、看板商品がよく分からない。非食品のディスカウント売場も、100円ショップに押されてさらに閑散としている状況だ。
PPIHとの相性は良さそう?
PPIHのスーパー買収の歴史は、母体となったドン・キホーテが2007年にGMSの長崎屋を買収したところから始まった。以降はディスカウントショップと食品スーパーが融合した店舗を増やしている。ある意味でオリンピックの店舗をもっと大型にしたようなものだ。しかも面白味がある店舗をつくってきたといえる。そのため、業態転換による再生はたやすいとみられる。
4月24日のグランドオープンに約500人の行列ができたというロビン・フッドは、一般のスーパーの食品売場のような、「お客を迷わせない」「買いやすい動線」を採用している。そして、ワクワクドキドキするドン・キホーテの演出との両立も目指している。
85円と超激安のおにぎりや豊富なカット野菜・フルーツ、あらかじめ骨を取った鮮魚のレンジ商品など、コスパとタイパを同時に実現する商品をそろえた点が好評のようだ。また売場面積の約4割を非食品が占め「エンタメ」「ワンマイル」「ウェルネス」「美容」「日用品」の5テーマで整理している。小型店の「ピカソ」をより日常に振ったような感じだろうか。
今はオープン景気もあるので、人気がどこまで続くかは未知数だが、ドン・キホーテより生活に密着した店舗をつくれるように、首都圏では今回オリンピックの店舗を確保したのだろう。すでに述べたように、オリンピックは食品スーパーと非食品のディスカウントストアが併存する店も多く、すんなりと転換できるのではないだろうか。
問題は、高級スーパーの三浦屋やペット、おにぎり、自転車などの専門店の処遇だ。中心的な事業ではないので、一括またはばらして売却していくのではないか。
オリンピックは多摩地区中部の立川、国分寺で華々しく登場し、斬新な売場づくりで東京郊外のライフスタイル形成に貢献し、一世を風靡(ふうび)した。しかし、令和の東京オリンピックからたった5年後に消滅してしまう。改革が進まず、令和以降に持続可能でなかった。その意味では、Olympicグループは2つのオリンピックの間に輝いて燃え尽きた、まさにオリンピックの申し子だったのかもしれない。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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