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Vポイントは「一人負け」 PayPay先頭、楽天は失速……ポイント市場の地殻変動、勝ち抜くのは(3/3 ページ)

日本のポイント市場で、メインで使われるポイントの入れ替わりが進んでいる。激化するポイント市場の地殻変動、勝ち抜くのはどのブランドか。

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「一人負け」のVポイント

 5大共通ポイントのなかで、最も難しい位置にいるのがVポイントだ。新規メイン獲得者の割合は最大級なのに、1年定着率は最下位。新しく入ってくる人は多いが、その多くが翌年メインから外れていく。NRIも「このデータだけ見ると一人負けのように見える」と評する。

 ねじれの一端は、Vポイントの来歴にある。Vポイントは2024年4月、SMBCグループの旧VポイントとCCC(カルチュア・コンビニエンス・クラブ)の旧Tポイントが統合して生まれた。新規流入の多さは、旧Tポイント時代の加盟店網と認知資産が、依然として効いていることの裏返しでもある。だが、ブランドが切り替わっても旧Tポイント時代の利用習慣がうまく引き継がれず、メインで使い続けるところまでは到達しきれていない。


新規メイン獲得者の割合は最大級なのに、1年定着率は最下位。厳しいVポイント(出所:野村総合研究所「決済・ポイント実態調査」より)

 カギを握るのが、三井住友フィナンシャルグループが2023年3月に始めたモバイル総合金融サービス「Olive」だ。銀行口座、カード、証券などを1つのアカウントに束ね、利用に応じてVポイントが還元される。アカウント数は2025年3月に500万件を突破した。NRIもOlive×Vポイントの施策が、Vポイントの局面を変える要因になり得ると見る。

 とはいえ、500万アカウントは、旧Tポイントが積み上げた数千万規模の会員層と比べればまだ一部だ。さらにOliveの新規口座開設者は約半数が20代以下、若年デジタル層が主軸である。

 一方、旧TポイントがTSUTAYAやファミリーマートなど日常店舗で広げてきた利用者は、年齢層も利用シーンも幅広い。新規流入で多いのは旧Tポイント時代からの利用者だが、定着の本丸であるOlive会員と顔ぶれが必ずしも重なっていない。新規獲得が大量に発生しても定着率が伸びない構造の背景には、この「層の食い違い」が効いている可能性がある。

 Olive×Vポイントの連携が、この食い違いをどこまで埋められるか。Vの「一人負け」が構造的な問題なのか、移行期固有の現象なのかは、次の1年で答えが出てきそうだ。

競争激化は続く

 5年後10年後の勢力図は誰にも読めない。だが、直近についていえば、淘汰(とうた)ではなく競争がもう一段階激化すると見るべきだろう。NRIも「直近はまだ激化していくだろう」との見立てだ。

 もし選別が起きるとすれば、原資を投じてまで顧客を獲得しようというモチベーションが各陣営から失われたときだ。だが、PayPayは金融、楽天はクロスユース、dはドコモ回線、Pontaはau経済圏、VはOlive──いずれも、ポイント原資を出し続けられるグループ事業を背後に抱える。事業者の競争心が冷える条件は、当面そろわないだろう。

 実際、それほど勝ち負けが明確になっているわけでもない。NRIによれば、サブ利用まで含めれば各陣営の勢力は比較的近いという。生活者側も「旅行はあっち、日常はこっち、エンタメはそっち」と、シーンで使い分けている。陣営同士のメインシェア争いとは別に、すみ分けも進む。

 5大共通ポイントは、もはや同じ土俵で戦ってはいない。経済圏のせめぎ合いは、しのぎを削る側面とすみ分ける側面を同居させながら、しばらく続くだろう。

筆者プロフィール:斎藤健二

 金融・Fintechジャーナリスト。2000年よりWebメディア運営に従事し、アイティメディア社にて複数媒体の創刊編集長を務めたほか、ビジネスメディアやねとらぼなどの創刊に携わる。2023年に独立し、ネット証券やネット銀行、仮想通貨業界などのネット金融のほか、Fintech業界の取材を続けている。


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