「家電のソニー」は終わったのか テレビを手放した巨大企業の姿:家電ビジネス(1/3 ページ)
ラジオで世界に飛び出したソニーは、ウォークマンやテレビで時代を築く一方、金融や映画、ゲームにも進出した。家電不振を乗り越え、いまやIPと半導体を軸に稼ぐ異色企業へと変貌している。
この記事は、書籍『家電ビジネス』(安蔵靖志/クロスメディア・パブリッシング)に、編集を加えて転載したものです。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
日本の産業史において、ソニーほど家電メーカーの枠組みを軽々と飛び越え、独自の進化を遂げた企業はほかにありません。
ソニーの前身である「東京通信工業」は、1946年に井深大と盛田昭夫によって設立されました。1955年に日本初のトランジスタラジオ「TR-55」を発売した当時は、朝鮮戦争による特需(朝鮮特需)によって日本の産業界に莫大な利益をもたらした時期でした。
ソニーも通信機器の需要や国内の消費意欲の高まりを受け、小型軽量なラジオを爆発的にヒットさせます。この「ラジオの成功」こそが、ソニーが世界に羽ばたくための最初の軍資金となりました。
ソニーの異質さが際立ち始めたのは、その資金調達の考え方です。当時の日本企業は銀行から融資を受けるのが一般的でしたが、ソニーは直接金融(市場からの調達)や、自ら金融業を持つことで事業資金を得る道を選びます。
1979年にソニー・プルデンシャル生命保険(現ソニー生命)を設立した背景には、景気に左右されやすい製造業のキャッシュフローを安定させ、長期的な研究開発資金を自前で確保するという狙いがありました。後にソニー銀行やソニー損保を立ち上げ、「金融のソニー」と呼ばれるほどの利益柱へと成長させましたが、これは家電メーカーとしては極めて異例の戦略でした。
1980年代、ウォークマンの大ヒットで世界的な家電メーカーの頂点に立ったソニーは、次なる一手を打ちます。それがコンテンツ(ソフト)の買収でした。1988年にCBSレコード(現ソニー・ミュージック)を、1989年にはコロンビア・ピクチャーズ(現ソニー・ピクチャーズ)を買収し、音楽と映画の巨大資本を手に入れます。
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