外食の人手不足は“外国人頼み”で解決できるのか 飲食店900件倒産の深層:スピン経済の歩き方(6/7 ページ)
大手外食チェーンを中心に、店舗数の拡大とともに外国人労働者を増やしている。人口減少が加速する日本で、経済を維持するために本来必要なこととは――。
ホワイトカラー約440万人があふれる時代
例えば、冒頭で紹介した「世界の山ちゃん」は現在、特定技能1号外国人の方が社員として店長になっていて、店員が外国人スタッフが中心の店もあるという。このような形で外国人労働者を重宝して実際にうまく回っている外食企業で、いまさらAIによって職を失った元ホワイトカラーの日本人を雇おうと思うだろうか。
どうせすぐに辞めるし、外国人店長とうまくやれるかも分からない。採用に慎重になる企業が出てくる可能性もあるのではないか。
だからこそ今、日本が進めるべきは「外国人労働者の拡大」ではなく、「雇用ミスマッチの解消」なのだ。仕事がなくなることが分かりきっている約440万人を逆に「金の卵」と捉えて、さまざまな人手不足業界への転職を国として支援する。経営難の企業を補助金で延命させるよりも、はるかに効果の高い経済政策だ。
以前から「雇用の流動性を高める」ことが掲げられているが、単純に転職を促すのではなく、実際に「人手不足」とされる業界へ人材を移していく必要がある。ライザップは建設業界に参入し、社員500人にリスキリングを行っているが、このような取り組みを国は後押しすべきではないか。
「人手不足で倒産する会社があるからもっと外国人労働者を増やす」のは一見すると、小規模事業者や経営が厳しい企業を支援しているように見えるが、実際には「日本人が嫌がる仕事、すぐに辞めてしまう仕事を代わりにやってくれる労働力」をバラまいているにすぎない。率直に言えば、経済団体を票田とする自民党の選挙対策だ。
だから、日本経済の構造的な問題は何も解決しない。人手不足を引き起こす「雇用ミスマッチ」は放置され、大阪市の人口に匹敵する規模の日本人が5年で減少したシビアな現実から目を背け続けている。
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