会員が20万人いるのに、なぜ口コミが増えなかったのか ドモホルンリンクルが“沈黙するファン”を動かした方法(6/6 ページ)
再春館製薬所が展開する化粧品ブランド「ドモホルンリンクル」が、“推し活”で成果を上げている。約1400人が参加するファンコミュニティ「ドモコミュ」を通じて、口コミは約10倍、ドモコミュメンバーの年間購入額は最大2.6倍になった。取材したところ……。
企業がファンコミュニティーを開設する3つの理由
再春館製薬所では、ドモコミュの運営を着実に成果につなげている。メンバーの年間購入額は、非メンバーと比較して1.1〜2.6倍、SNS上の口コミは約10倍になった。口コミは全てがドモコミュの成果ではないが、公式のお知らせに真っ先に反応するのはドモコミュメンバーであり、熱量が高い投稿の多くはドモコミュメンバーによるものだという。
「順調に運営できているのは、お互いが顔を合わせる接点を作っていることが一番の要因かもしれません。社員もメンバー同士も会ったことがある、あるいはそのうち会えるかもしれないという間柄で、互いを尊重する姿勢が自然と生まれています。ファーストクルーの方たちが、新メンバーに真っ先にあいさつをしてくださるなど、仲間に入りやすい雰囲気も醸成されています」
再春館製薬所では、現在のコミュニティーの状態を維持しながら、メンバーを1万人規模に増やしていきたい考えだ。
近年は、同社に限らずファンコミュニティーに熱を入れる企業が増えている。そこには、どんな狙いがあるのか。コミューンの広報担当者は、こう答えた。
「企業の狙いは主に3つで、『ファンとつながって、声を拾いながら熱量を広げたい』『顧客と一緒に製品開発などの共創をしたい』『カスタマーサクセスを加速したい』となります。それぞれアプローチが異なり、適切に運営することで成果につながりやすくなります」
ファンコミュニティーがうまく機能すると、販促費をかけずに商品が売れる、解約率が下がるといった実利も見込めるという。「ファンコミュニティーは心理的安全性が高く、『安心して好きなものを推せる』が大きなモチベーションになっています」(広報担当者)
野村総合研究所の推計では、推し活をする人は約2600万人に上るという。若年層だけでなく中高年も熱中していて、インテージの調査では、高齢になるほど物価高や円安に影響されずに消費する傾向も見られた。熱量の高いファンがもたらす効果は、着実に表れている。
著者プロフィール:小林香織
1981年生まれ。フリーランスライター・PRとして、「ビジネストレンド」「国内外のイノベーション」「海外文化」を追う。一般社団法人 日本デジタルライターズ協会会員。エンタメ業界で約10年の勤務後、自由なライフスタイルに憧れ、2016年にOLからフリーライターへ転身。その後、東南アジアへの短期移住や2020年から約2年間の北欧移住(デンマーク・フィンランド)を経験。現地でもイノベーション、文化、教育を取材・執筆する。2022年3月からは東京拠点。
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