日本家電はなぜ輝きを失ったのか 名門家電が“別会社”になった理由:家電ビジネス(1/3 ページ)
東芝やシャープ、三洋電機など、日本を代表する家電ブランドは相次いで外資傘下に入った。背景にあるのは価格競争と事業再編だ。一方で、ブランドは残り続け、“日本家電”の意味も変わり始めている。
この記事は、書籍『家電ビジネス』(安蔵靖志/クロスメディア・パブリッシング)に、編集を加えて転載したものです。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
かつて、日本の家電メーカーは世界のエレクトロニクス産業の盟主として君臨していました。テレビやビデオデッキ、オーディオ機器など、日本製品は革新的な技術と優れた品質で世界中の家庭を席巻し、豊かな暮らしの象徴でした。
しかし21世紀に入り、その状況は一変します。デジタル化の進展と技術のコモディティ化、新興国企業の台頭による価格競争の激化、そして日本企業自身のグローバル戦略の遅れなどが複合的に作用し、日本の家電メーカーはかつての輝きを失い始めました。その結果として顕著になったのが、事業の再編と、特に中国企業による買収の波です。
日本の産業史における重鎮ともいえる東芝は、経営危機と不正会計問題を経て、その事業の多くを売却することになりました。冷蔵庫や洗濯機などの家電事業は、2016年に中国の家電大手である美的集団(マイディアグループ)傘下に入りました。これにより、美的集団の強力な生産・販売網の下で「東芝ライフスタイル」として事業を継続することになりました。
テレビ事業は東芝の映像事業子会社である東芝映像ソリューション(現TVS REGZA)の株式が、2018年に中国のテレビメーカー大手であるハイセンスに譲渡されました。ハイセンスは、東芝が持つ高画質技術やブランドを継承し、グローバル市場での展開を図っています。
液晶テレビの雄であったシャープも巨額の赤字に苦しんだ末、2016年に台湾の電子機器受託製造サービス(EMS)大手である鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入りました。ホンハイは、シャープの持つブランド力、液晶技術、そして研究開発力を評価し、自社の強みである圧倒的な生産能力と部品調達力を組み合わせることで、シャープの再建と成長を目指しました。その後のシャープは収益を回復させ、再び事業を拡大する道を歩んでいます。
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