「たった1人」から始まった日立「営業DX」 営業とマーケの衝突を防ぐ“3つのルール”(1/3 ページ)
日立製作所は2016年から、デジタルマーケティングの取り組みを開始した。営業やSEと連携しながら、既存顧客の中にある“まだ掘り起こせていない需要”に、どうアプローチしてきたのか。日立製作所の営業DXの取り組みを深掘りする。
本記事の内容は、RX Japan(東京都中央区)が4月22〜24日に開催した「マーケティングWeek」内で実施されたセミナー「日立におけるデジタル活用の進展──ABMで既存の新規を狙う」の内容を要約したもの。
顧客ニーズや市場環境が大きく変わる中、企業には個人の経験やブランド力だけに頼らない営業・マーケティング体制づくりが求められている。そこで重要になるのが、デジタルを活用した営業DXだ。
日立製作所は2016年から、デジタルマーケティングの取り組みを開始した。当初は加瀬奈月氏(日立製作所デジタルシステム&サービス営業統括本部 Executive Strategy Unit 営業DX&AI推進センタ 部長代理)が1人でスタートし、ソリューション軸の施策から、特定顧客を深掘りする「ABM」(アカウント・ベースド・マーケティング)へと軸足を移しながら、インサイドセールス(IS)の役割も強化している。
取り組みにより、一時は中断していた「休眠顧客」への再アプローチを実施し、受注に至るなどさまざまな成果も出ているという。営業やSEと連携しながら、既存顧客の中にある“まだ掘り起こせていない需要”に、どうアプローチしてきたのか。日立製作所のデジタルマーケティングを深掘りする。
“たった1人”から始まった日立の営業DX
同社でデジタルマーケティングの取り組みが始まった2016年、Webのトラッキングデータ、セミナー参加者情報、受注情報などが社内に分散していた。加瀬氏は「『これらをつなぎ合わせることで新しい価値が見えるのではないか』との考えから、活動をスタートした」と振り返る。
2018年には数人の専門チームが発足し、マーケティングオートメーション(MA)と営業支援システム(SFA)の連携を開始。ターゲットを絞ったトライアル施策を展開した。
その後、コロナ禍をきっかけにオンライン化が急速に進む中、ウェビナーへの切り替えやメールを通じた継続的な顧客接点の維持など、営業からデジタル活用の支援を求める声が増えた。これをきっかけに、社内でもチームの存在が広く知られるようになったという。
2023年には、それまでのマーケティング施策にとどまらず、インサイドセールス(IS)の業務まで領域を広げた。単にリード(見込み客)を獲得するだけでなく、有望顧客へのヒアリングや初回面談まで担い、案件化した上で営業へトスアップする体制を整えていった。
2026年4月には「営業DX&AI推進センタ」が新設され、システムやツール活用に加え、営業活動全体の変革を支援する立場へと役割を広げている。
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