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「たった1人」から始まった日立「営業DX」 営業とマーケの衝突を防ぐ“3つのルール”(2/3 ページ)

日立製作所は2016年から、デジタルマーケティングの取り組みを開始した。営業やSEと連携しながら、既存顧客の中にある“まだ掘り起こせていない需要”に、どうアプローチしてきたのか。日立製作所の営業DXの取り組みを深掘りする。

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なぜ「製品起点」ではなく「ABM」を選んだのか

 デジタルマーケティングの導入初期、多くの企業は特定の製品やソリューションを軸に、幅広い顧客に売り込む手法をとる。しかし日立製作所は、狙う企業を絞って深く向き合う「ターゲット企業軸」(ABM:アカウント・ベースド・マーケティング)へと舵を切った。その理由は、以下に示す同社のビジネス特性にある。

(1)強固なアカウント制: 営業担当者が特定の顧客を長年担当するケースが多く、深い関係性を構築している

(2)個別仕立て型のビジネス:汎用的なソリューションよりも、顧客の経営課題に応じた数年がかりの大型案件が中心となっている

 このような環境では、広く浅いリード獲得を狙うよりも、すでに接点のある既存顧客の「未開拓な部門や課題」を深掘りするABMの方が、自社の営業スタイルに合うという。

 数年がかりの商談プロセスにおいて、不確実な初期段階の案件を営業個人が抱え続けるのは負荷が大きい。後半の確実な刈り取り(クロージング)に営業が集中できるよう、初期のアプローチから有望案件化までのプロセスをマーケティング・IS部門が引き受ける。こうした分業体制が、現在の営業DX施策の一つの軸になっている。

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「製品起点」ではなく「ABM」を選んだ理由とは(提供:ゲッティイメージズ)

営業との衝突を防ぐ3つのルール

 既存顧客へのアプローチにおいて、営業部門との連携や信頼関係の構築が欠かせない。加瀬氏のチームでは、現場と連携しながら活動を進めるために、以下の3つのルールを定めている。

(1)戦略の共有と「中間の成果指標」の設定

 受注に至るまでには長い期間を要する。そのため、最初に顧客の組織図やアカウントプランを営業と共有した上で、受注の手前にあるプロセスを適切に評価する指標(KPI)を設けた。

 具体的には、ターゲット企業内のプロファイルをどれだけ収集できたか、キーパーソンを何人見つけられたか、次年度の予算に絡む有望案件数がどれだけ取れたかなどを可視化し、中間の指標を意識的に追う仕組みを整えている。

(2)顧客へのアプローチ内容の可視化

 メンバーの対応品質のばらつきを防ぐため、事前の架電で確認すべき項目や、初回面談で押さえるべき項目を可視化している。

(3)「売り込まない」面談と顧客解像度の向上

 オンライン面談の初期にありがちな、自社ソリューションを一方的に説明して時間を消費してしまう失敗を避けるため、アジェンダの構成を工夫している。面談の冒頭で「御社ではこのような課題はないか?」という仮説を提示し、まず顧客に話してもらう時間を確保する。これにより、顧客の課題に対する解像度を高めている。

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