「脱中東」はしない──コスモHD社長が語る、中東での「原油開発」にこれからも投資するワケ(1/2 ページ)
「脱中東ではなく、脱ホルムズが重要だ」──コスモエネルギーホールディングス山田茂社長は、中東情勢を受けた見解をこう語る。
「脱中東ではなく、脱ホルムズが重要だ」
エネルギー大手のコスモエネルギーホールディングス(HD)は6月18日、今後3年間の中期経営計画を発表した。
山田茂社長は会見で、中東における石油増産に向けた開発投資を引き続き進めていくと説明。中東情勢が不透明な中でも「中東原油の経済合理性は無視できない」とし、ホルムズ海峡を経由しないパイプラインなどの調達ルートも検討する意向を明らかにした。
中東情勢受け中計発表が3カ月延期
2026〜2028年度の中期経営計画では、全体の投資額5500億円のうち、2割近い950億円を中東での原油生産量の最大化など、資源開発の領域に充てると発表した。2028年度には純利益860億円、自己資本利益率(ROE)12%以上の方針を掲げる。
同日発表した2035年度までの長期ビジョンでは、全体の投資額8000億円のうち3000億円を石油や天然ガスなどの資源開発に投じるとした。
2035年度までの長期ビジョンでは、全体の投資額8000億円のうち3000億円を石油や天然ガスなどの資源開発に投じる方針。コスモエネルギーグループ「第8次連結中期経営計画」(2026-2028年度)より
当初、中期経営計画の発表は3月下旬を予定していたが、中東情勢の緊張を受けてこの日に延期。「有事の原油調達の多様化」「ホルムズ海峡を回避する施策の検討」といった内容を新たに盛り込んだ。
米国とイランは6月17日に戦闘終結を定めた覚書に署名した。山田氏は「これまでも進んでは戻り、進んでは戻りの状況が続いてきた。今度こそ本当に平和合意に向けて進んでほしい」と語った。
質疑応答では、ホルムズ海峡の動向に関する質問が相次いだ。主なやりとりは次の通り。
中東情勢が不安定な中でも、原油開発拡大 なぜ?
──中東情勢が不安定な中でも、中東で原油開発拡大を続けるのはなぜか
中東の原油は、グローバルな原油需要を支える非常に重要なエネルギー。生産コストが低く、深海油田のような大規模投資を必要としないことから、コスト競争力が非常に高い。
さらに、日本の製油所に非常にマッチした原油であり、エネルギー安全保障の観点からも非常に有効な原油だと考えている。引き続き原油生産の拡大を進めていきたい。
一方で、今回の中東情勢を踏まえ、ホルムズ海峡を回避する施策や安全性を高める手立てについては、さまざまな選択肢を検討していかなければならない。
──現在のホルムズ海峡における原油輸送はどのような状況か
当社は自前で船舶を保有しているわけではなく、船会社に輸送を依頼している。その中で、当社が用船している船も湾内にいくつか残っており、現時点ではまだ出られていない状況となっている。
米国とイランの間では戦闘終結に向けた動きもあるが、当社としては船会社や政府関係者とも連携し、情報を収集しながら注意深く見守るしかない。
──今回の経験を踏まえ、代替調達はどのように考えているか
今回、初めてホルムズ海峡封鎖への対応を経験した。当初はかなり混乱もあったが、国家備蓄の放出などもあり、大きな混乱なく供給を続けることができた。また、中東域外からの調達についても一定の経験を積むことができた。
その上で、やはり中東の原油は平時において非常に経済性が高く、日本の製油所にとっても最もパフォーマンスが出る原油。ロジスティクス面でも日本まで約20日で届く。
今後は、中東域外からさらに調達できる原油がないかを検討するとともに、それらの原油を処理する際の製油所側の制約についても検討していく。
ただ、平時からコストの高い域外原油を常時調達することは、経済合理性を無視した判断にもなりかねない。そうした点も含めて検討していく必要がある。
──中東以外の原油を活用するために、製油所への投資は必要になるのか
中東以外の原油といっても種類はさまざまで、それぞれ製油所での制約条件が異なる。どの原油を対象にするのか、その原油を処理するためにどのような制約があり、どの程度の設備投資が必要なのかを整理しなければ投資額も決まらない。
今年から来年にかけて検討を進めていく。
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