「成長しなければ」と焦る若手、「パワハラ」におびえる上司 すれ違いの実態(3/3 ページ)
AIの進化と不確実な時代を背景に、若手社員の間で「成長しなければ生き残れない」という焦りが強まっている。一方、上司はパワハラへの懸念から指導に踏み込めない。離職実態調査から見えた、育成現場の深刻なギャップを追った。
上司を悩ませる葛藤
若手が成長を渇望する一方で、現場で指導にあたる上司や先輩社員は強い葛藤を抱えている。
育成側は、「自分たちの経験則が通用しない」という世代間ギャップ、「ハラスメントになるのではないか」というコンプライアンスやパワハラへのプレッシャー、そして慢性的な人手不足による多忙さという、3つの壁に直面している。
若手に腫れ物に触るように接することで、ハラスメントなどの問題は起きにくくなった。しかしその一方で、若手が最も求めている成長支援が進まないという皮肉な状況も生まれている。
こうした環境は、「ゆるブラック化」や「ホワハラ(ホワイトハラスメント)」につながるリスクをはらんでいる。
求められる「上司頼み」からの脱却
こうしたギャップを埋めるためには、育成を上司個人の努力に依存する「上司頼み」の状態から脱却する必要がある。
まず重要なのは、率直に意見を言い合え、失敗しても大丈夫だと思える安心できる環境を整えることだ。心理的安全性が確保されて初めて、若手は自律的に能力を発揮できる。
また、世代間ギャップや上司の負担を補う仕組みとして、「アセスメントツールの活用」と「職場ぐるみの育成」が有効だ。
適性検査やコンディション把握サーベイ(従業員へのアンケート調査)などを活用し、若手の特性や状態を客観的に把握することで、より適切な配置や指導が可能になる。
さらに、上司だけでなく中堅社員なども巻き込み、職場全体で育成に取り組むことで、上司の負担軽減と若手の成長機会の拡大を両立できる。そうした取り組みが、人材の定着と成長の好循環につながるだろう。
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