「KADOKAWA夏野社長を解任せよ」 根本原因は業績不振にあらず? 日本企業を悩ます“社外取締役”問題の深層(1/4 ページ)
昨今、株主たちの企業に対する視線が厳しくなっている。特にポイントになりそうなのが「社外取締役」だ。不祥事が起きた企業や、社長の解任を求める声が出たケースなどを基に解説していく。
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著者プロフィール・大関暁夫(おおぜきあけお)
株式会社スタジオ02 代表取締役。横浜銀行勤務時代、全銀協へ出向した際はいわゆるMOF担として、現メガバンクトップなどと行動を共にして政官界との調整役を務めた。06年に支店長職をひと区切りに退社、現在は金融機関、上場企業、ベンチャー企業のアドバイザリーとともに情報通企業アナリストとして活動している。
企業経営に対する株主の監視姿勢が厳しくなっています。医療機器メーカーのフクダ電子が、株主である米ファンドのカナメ・キャピタルから指摘を受けました。会長の経費使用が不透明で会社を私物化しているとして、第三者委員会の設置を求められたのです。
これを受けてフクダ電子は、委員会を設置し調査報告を公表。約1億5000万円に及ぶ不適切経費使用を認めた上で、会長による不適切利用全額の一括弁済と、役員報酬の60%を6カ月間自主返納しました。
カナメ・キャピタルは、この対応について「調査不十分」として再調査を求めました。そして、フクダ電子の会長は6月16日付で辞任したのです。
ペンタブレットの製造などを手掛けるワコムも、株主総会を前に英ファンドのアセット・バリュー・インベスターズ(AVI)から、社長と取締役1人の解任を求める株主提案を受けています。その提案理由の一つは、一部事業の失速と株価の低迷です。さらにオフィス内に社長の娘のダンス練習・動画収録スペースを設けていることも社員のモチベーションを著しく低下させていると指摘を受けました。こちらも経営者による組織の私物化が問題視されているのです。またAVIは、社外取締役が社長を務める会社の買収についても、利益相反の疑義を申し立てています。
両社のような上場企業の経営者による組織私物化的な不祥事の多くは、経営者が自社を「自分のもの」と思っていることに起因しています。特にオーナー系企業ではその意識が強い傾向です。実質的に社長が取締役人事も含めた全ての権限を握って、取締役たちも社長の発言や行動、指示・命令は絶対である、という意識が抜けきっていないケースが散見されます。特にフクダ電子のケースは、これに該当するのではないかと推測されます。
非オーナー系企業でも、トップが長期政権となっている、自社の発展に目覚ましい実績を残してきた場合には注意が必要です。オーナー系と同じようにその存在感や発言力が強くなり、トップの暴走や私物化が起こりやすくなるからです。もちろんそういった背景の有無にかかわらず、社長個人の資質の問題から私物化などの行為に走るケースも見られます。非オーナー系であるワコムについて詳細な背景までは分かりませんが、上記に類する何らかの理由により、トップの経営姿勢にゆるみがあったことは間違いありません。
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